商品化された作品

マンガムテープ

〈2016 優秀賞〉

おくりものの背景には必ず、おくり手の気持ちや、ストーリーが存在する。
マンガのコマや吹き出し、効果線が印刷されたガムテープで、
絵や文字で伝えたい気持ちを描くことができる。
そんな、あなただけの特別なおくりものを、大切な人に届けてみませんか。

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作品紹介ムービー:
https://youtu.be/dVvScULdr2U(YouTube)

作品から商品へ

「マンガムテープ」は、マンガのコマや吹き出し、効果線が印刷されたビニールテープです。コクヨデザインアワード2016のテーマである「HOW TO LIVE」に対し、贈りものを送る人から相手に向けた気持ちや、送ろうとするものの背景にあるストーリーを視覚化するためのツールとして提案。「気持ちを送ることをデザインしている」と評価され、優秀賞を受賞しました。

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最終審査会で「マンガムテープ」についてプレゼンする南 和宏さん

マンガムテープの作者、南 和宏さんは、「受賞してからすぐに商品化の連絡があって嬉しかった」と話します。基本的にはコクヨの担当者が中心となって商品化を進め、南さんはプロトタイプを確認しながらグラフィックや材料の要望を出し、ブラッシュアップしていきました。「商品化はとてもスムーズに進んだという印象です。私が主に改良したのは、テープに印刷するグラフィック。ユーザー調査を踏まえて、より使いやすいコマや吹き出しの形を検討しました」。

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左:応募時のプロトタイプ 右:商品化されたもの ユーザー調査に基づき、より描き込みやすい吹き出しの形や数を検討。

ユーザー調査は、南さんのご兄弟が勤める大学の学生約30人を対象に、実際にサンプルのテープに絵を描いてもらって行いました。その結果、吹き出しが多すぎても少なすぎてもそれが制約となって描きにくくなる、ということがわかり、南さんはコマ数のバランスを見ながら1パターン(約52センチ)10コマ分のグラフィックを調整しました。

また、最終審査の際、「商品化される時には、どんなマンガのコマを使うかといったディテールが大事になってくるだろう」という審査員(鈴木康広さん)の助言を思い出し、手塚治虫や藤子不二雄などのマンガを参考に吹き出しを研究したと言います。「個性がありすぎると描きにくいので、普遍的でありながらも華のある吹き出し、絵になる吹き出しを探してグラフィックの参考にしました」。加えて、実際のマンガの原稿とは異なり、ユーザーが主にサインペンを使って描くことを想定し、コマや吹き出しの輪郭もそれに合わせるような太さや強弱を意識しました。

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「マンガが続いていく感じを出したい」と、下のコマが透けて見える紙を選んだ。

応募時、南さんがつくったサンプルでは紙のテープを使っていました。しかし、紙のテープは印刷が難しい上に、耐久性という課題もあり、商品化に際してビニールテープを使うことに。コクヨが取り寄せたいくつかのサンプルをもとに、印刷された状態や貼った時にグラフィックがどう見えるかを検討しました。そして、「ダンボールに貼った時に下地の白がなるべくきれいに見えること。また、テープの状態の時に下のコマが透けて見え、マンガがどんどん続いていくようなイメージになるよう」な素材を最終的に選びました。

商品化されたマンガムテープがお店に並び、SNSや知人の報告を通じて誰かがそれを使っている場面を見かけると、普段はプロシューマー向けの製品を手がけている南さんにとっては、「ものづくりの実感がわきます」と喜びもひとしおです

コクヨデザインアワードの商品化においてはさまざまな困難もあるなか、終始前向きなやり取りのなかでスムーズに進んだマンガムテープのプロジェクト。なかでも南さんがこだわった、テープという形態ならではのコマや吹き出しの見え方、描きやすさにぜひ注目してみてください。