商品化された作品
たまほっち
〈2002 グランプリ〉
使いやすさと親しみやすさがひとつになったステープラー。
〈2002 グランプリ〉
使いやすさと親しみやすさがひとつになったステープラー。
※生産終了
カラフルでコロンとした、かわいいフォルムが特徴のステープラー「たまほっち」。これは、2002年より開催している「コクヨデザインアワード」の初代グランプリをコクヨが商品化したものです。丸みを帯びたそのデザインは、それまでのステープラーの形状を覆すものでしたが、ボディが大きいために紙の挿入が見えにくいことが課題でした。何度も試行錯誤を重ね、ボディ部分を斜めに設定することでクリア。商品の魅力的な特徴のひとつである、たまご型のポップなデザインを実現しました。
次に取り組んだのが針留め部分。受賞作は、机上に置いたまま指や手先を使わなくても軽く押すだけで針留めができるデザインでした。通常ステープラーの動作はハサミのような回転運動ですが今回は、丸みを帯びた形状を維持するために操作部の動作を垂直運動にしました。この垂直運動を実現するためには構造体と素材の選定が重要で、6ヵ所の柱とし滑りのよい樹脂を採用しました。また、「たまほっち」の裏面にラバーを設置し、叩いたときに商品が滑らない配慮も施しました。こうして、誰もが使いやすい「ユニバーサルデザイン」のステープラーが完成しました。
紆余曲折を乗り越え誕生した「たまほっち」。人にやさしい機能性とどこか心がホッとする愛らしいデザインとが上手くマッチした、さすがグランプリ作品!と思わせる一品となりました。こんなものがあったらいいのに。ここを少し変えたら劇的によくなるのに。あれとこれを組み合わせたらもっと使いやすくなるのに。そんな、ちょっとした工夫や発想の転換によって今までになかったものを創出する。それが、モノづくりの真髄というものです。