UNIVERSAL DESIGN ユニバーサルデザイン

コクヨには、できるだけ多くの人にとって使いやすい製品を目指して開発された、
たくさんのユニバーサルデザイン製品があります。

定規誕生秘話
完成されたデザイン。改善すべきは目盛り。
定規。この透明で真っすぐな板に、いかにしてユニバーサルデザイン(以下UD)の魂を吹き込むか?
シンプルな商品だけに、開発担当の篠原勝さんは大いに知恵を絞ることになりました。形状を変えるわけにはいかない。となると、改善すべきUDのポイントとは?
定規開発者篠原勝さん

長さ、太さ、色。見やすい目盛りを徹底追求。

ふむふむ、目盛りはまだ改善の余地があるというわけですね。
自分たちが定規を使っているときもですね、こう線を引くでしょ。そのとき、さっと早く線を引きたいんですね。でも15センチや20センチというところまでなら早いんですが、そこから先、あと2センチですとか3センチ5ミリですとか、細かいところになるとガクッとスピードが落ちてしまう。
そうですよね、6ミリと7ミリの見分け方なんて大変ですもん。
ええ、そこでミリの目盛りを波状にすることを思い付いたんです。それまでの定規は、1センチ単位と5ミリの目盛りは長いんですが、それ以外、つまり1〜4 ミリと6〜9ミリはみんな短くて同じ長さだったんですね。これじゃ読みにくいのは当たり前です。これを1ミリごとに違う長さにしてやれば、ずいぶん読みやすくなる。結果として、目盛りが波のような形になったんですよ。
波のような形の目盛り
ウェーブメモリの誕生ですね。これ、ホントに見やすいんだなあ。さっきの例でいうと6ミリと7ミリの違いが、はっきり分かりますもんね。
ただね、いまの波の形になるまでは、さらに紆余曲折がありまして。同じ波形でも、真ん中が盛り上がるタイプが見やすいのか、それとも凹んでいる方が見やすいのか。試作品をたくさん作って、いろんな方にテストしていただいたんです。いろんなご意見をいただいたんですが、やっぱり凹んでいるタイプが一番見やすいということになりましてね。
なるほど、商品化されたのとは逆の波形も試作品の中にはありますね。うん、確かに現状の方がずっと読みやすいです。
それ以外にも、1本1本の線の太さというのも重要なんです。いろいろな太さのものを作って、同じようにアンケートをとりました。単純に太ければ見やすいですよね。ですが結局、「見やすい」と答えていただいた中で一番細い線のものを採用したんです。
細い方がいいんですか?
あまり太い線だと、定規としては役に立ちませんよ。1ミリ、2ミリというシビアな世界を見極めるんですから。それじゃ見やすいけど、見分けが出来なくなっちゃう。
開発担当の篠原勝さん
そういえば、この目盛りの色、これも独特なように思うんですが。
これもUD的発想のひとつですね。文字が黒で書かれている場合、目盛りが黒いと重なって何センチ何ミリなのか読めなくなっちゃいます。ではグレーにすればいいかというと、今度は薄くて目盛り自体が読みにくい。そこで、この紺色を採用しました。筆記具のインクの青は、もっと浅い青なので重なっても見えにくくなる心配はありません。
あとですね、この定規を特徴付けてるのが、真ん中に走っている青い帯状のラインだと思うんです。これはデザイン上のものなんですか?
これにもちゃんと意味がありましてね、ほら、このラインを重ねてやると、時刻表だとか横に広い表を読むとき、行をズレずに追って行けるんです。やってみていただくと良く分かるんですが、意外と重宝すると思いますよ。
なるほど、これ、便利ですね。
このラインを2列にして、さらに読みやすくしたタイプもあります。2列だと、その合間の透明な部分に行を挟んで読むこともできますから。この部分、よく見てもらうと分かるんですが、ドット、つまり網点になってて透けて見えるんですね。塗りつぶしではなく、ドットにしてあるのがミソなんです。
合間の透明な部分に行を挟んで読むことも可能
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