コクヨS&T、ノートへの手書きの良さを脳波で研究
その他(カテゴリ)その他(業種)文具・日用品2015年08月26日
コクヨグループのコクヨS&T株式会社(本社:大阪市/社長:八十 卓司)と、株式会社センタン(東京都千代田区)は、紙ノートへの書く行為の方がタブレット端末に比べ脳への負荷が低いことを示唆した共同研究の結果を、8月22日に行われた電子情報通信学会 ヒューマンコミュニケーション基礎研究会にて発表しました。
背景
近年、学校教育でのタブレット端末の利用が増えてきている中、コクヨS&T株式会社は、学習場面において紙ノートへの「手書き」行為は重要であり、紙ノートとタブレット端末双方の持つメリットを活かした使い分けが必要と考えています。本研究は、紙ノートとタブレット端末への書く行為が、学習と内容の理解に及ぼす影響について調べ、その違いを明らかにする目的で実施しました。
結果について
タブレット端末では紙ノートに比べて書き取り中の前頭部シータ帯域パワー(※1)が高く、書いた文字を確認するために書く行為そのものに注意を奪われやすい傾向が見受けられました。このことは、タブレット端末の方が脳への負荷が高いことを示します。
(※1)シータ帯域パワーについては「研究方法について」の項にて後述。
(※1)シータ帯域パワーについては「研究方法について」の項にて後述。
研究方法について
・調査対象:スマートフォンとPCの使用歴がある高校生12名(男性3名、女性9名、全員16歳)
参加者に、数分程度の朗読文を呈示し、紙ノート、タブレット端末いずれかにメモ書き・ノートまとめを行ってもらいました。メモ書き中とノートまとめ中の脳波を測定し、デバイスが学習に及ぼす影響を検討するために、作業に対する認知負荷や集中の程度を反映するとされるシータ帯域パワーに注目しました。また、学習後に記憶テストと理解度テストを実施し、タブレット端末で学習した場合と、紙ノートで学習した場合とで成績の比較を実施しました。最後に、メモ書きに向けられる注意の程度を比較するために、学習音声を聞いてメモ書きをしながら、それとは関係しないプローブ音(※2)に反応させる二重課題を実施し反応時間を計測しました。
(※2)プローブ音:反応を測定するための音による刺激
参加者に、数分程度の朗読文を呈示し、紙ノート、タブレット端末いずれかにメモ書き・ノートまとめを行ってもらいました。メモ書き中とノートまとめ中の脳波を測定し、デバイスが学習に及ぼす影響を検討するために、作業に対する認知負荷や集中の程度を反映するとされるシータ帯域パワーに注目しました。また、学習後に記憶テストと理解度テストを実施し、タブレット端末で学習した場合と、紙ノートで学習した場合とで成績の比較を実施しました。最後に、メモ書きに向けられる注意の程度を比較するために、学習音声を聞いてメモ書きをしながら、それとは関係しないプローブ音(※2)に反応させる二重課題を実施し反応時間を計測しました。
(※2)プローブ音:反応を測定するための音による刺激
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※タブレット端末:専用のデジタルペンが付属するタイプのタブレット端末を使用
紙ノートとタブレット端末の学習や理解への影響について
記憶テストと理解度テストの成績に紙ノートとデジタル端末による差は観察されなかった(図1)が、メモ書きをしている間の前頭部シータ帯域パワーは、学習時と二重課題時ともに紙ノートよりもタブレット使用時で高まる傾向が観察されました。(図2)また、有意差はないものの、二重課題のプローブ音に対する反応が、タブレットにおいて遅れる傾向も観察されました。(図3)シータ帯域パワーは、脳が何らかの情報処理を行っている状態、すなわち認知負荷がかかった状態で高まることが知られています。紙ノートに比べてタブレットで前頭部シータ帯域パワーが高まったという本実験の結果は、紙ノートに比べて、タブレット端末でのメモ書き時の認知負荷が高い状態であったと解釈することができます。一方で、タブレット端末は、紙ノートでは難しい、手軽に大量の情報を検索・収集、また映像として見ることができる他、編集や共有が可能な優れた面を持ちます。こうしたことから、学習の場面では、紙ノートとタブレット端末を使い分けることが重要であることが考えられます。
![]() (図1)理解度テスト、記憶テストの成績(N = 12)。バーは標準誤差。
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![]() (図2-1)学習時(朗読文呈示中)の前頭部シータ帯域パワー(N = 12)。バーは標準誤差。
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![]() (図2-2)学習時(ノートまとめ中)の前頭部シータ帯域パワー(N=12)。バーは標準誤差。
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![]() (図2-3)二重課題中の前頭部シータ帯域パワーの平均値(N=12)。バーは標準誤差。
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![]() (図3-1) プローブ音に対する反応時間の平均値(N=12)。バーは標準誤差。
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![]() (図3-2) プローブ音に対する反応時間(反応が遅い方から30%)の平均値(N=12)。バーは標準誤差。
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- テクニカルレポートはこちらをご覧下さい。
http://www.kokuyo-st.co.jp/info/pdf/20150826_papernotebook_vs_tablet.pdf
- 株式会社センタンのページ
http://www.centan.jp/
- ヒューマンコミュニケーション基礎研究会のページ
http://www.ieice.org/~hcs/wiki/
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