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生物多様性の保全

間伐とは

人工林を適正に管理する大切な仕事のひとつが、間伐です。間伐とは、競合する木を選別して伐採し、木々の間に適度な広さを確保する仕事のことです。適正に間伐された森は、樹間から光が差し込み、背の低い広葉樹や草、コケなどを育みます。さらに虫や鳥、獣などの生き物がそこに来ることで、森は健やかさを保つのです。
間伐は、やがて収穫する木材の品質を向上するために行われる作業です。それは同時に、人工林の生物多様性を自然のバランスに近づけていくことでもあります。

間伐不足の森林、間伐が適切になされている森林
間伐をすることは、
森に生きる生物たちの
ためにもなる

手入れが遅れた人工林では、樹冠の閉鎖で日光がさえぎられ、地面に十分な光が届かなくなります。これでは下草が育たず、腐葉土などもできません。木も栄養が行き渡らず、やせ細ってしまいます。
また下草には雨などの衝撃をやわらげ、土に浸透させる役割もあります。下草がないと、地表の柔らかい土が雨に流され、木の根や固い土がむき出しになっていきます。森は水を蓄えられなくなり、雨や流水が急流となって流れ出します。急流は土砂を川に流し込み、水質を悪化させ、ついには川の生態系も破壊すると言われています。

間伐の効果を検証するモニタリング調査。
その活動に、コクヨも取り組んでいます。

間伐は、やがて収穫する木材の品質を向上するとともに、森林の豊かさを保つために必要な仕事。「結の森」では間伐の効果を検証するため、高知県立四万十高校の皆さん、筑波大学大学院の皆さんと協力して定期的なモニタリング調査を行っています。 筑波大学大学院の皆さんとは、流量調査の結果をもとに「土壌の浸食・地表流の発生と間伐の関係」について分析をすすめています。また四万十高校との活動では、独自に編成された「結の森・妖精チーム」をはじめとする多くの生徒さんにご協力をいただきながら森林内の植生調査、四万十川の清流調査などを行っています。
モニタリング調査には毎年、コクヨ社員も参加します。環境の変化を実際に目にすることで結の森プロジェクトの活動を検証しているのです。
これらの調査はFSC認証を継続する上で毎年実施することが義務付けられており、年次監査の際には調査結果が報告されます。

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植生調査

自然共生社会の実現のため、年に一度、植生調査を実施しています。
調査では、森林の状態を判断するとともに、間伐後、森に光が差し込むことによって、どの程度森林再生が進んでいるかなど、間伐による森林の変化をみています。また、生えている植物の種類や密度、分布状況なども計測します。

調査方法

調査地点

調査の目的は次の2つです。

  • (1)森林の状態を判断すること
  • (2)間伐による森林の変化を見ること

調査は、手入れの頻度など条件が異なる4つの地点で「風当たり」「日当たり」「土の湿り具合」「高木層・低木層・草本層」について行います。それぞれの地点を9区画に分け、ひと区画ごとに検分します。

各階層の高さを測定

階層ごとの高さと植被率と出現種数

■ 高さ・・・
各階層ごとに、一番背の高い植物の高さを測定します。
■ 植被率・・・
枝や葉が地表を覆っている割合を、各階層ごとに測定します。
■ 出現種数・・・
各階層ごとにみられる植物の種類を記録します。
下草の無い森林

下草の役割

間伐がされていない森では、太陽の光が入らず、下草が育ちません。雨が降った時にクッションの役割をする下草が無いと、雨が直接地面に当たるので地面は固くなってしまいます。そうすると次に雨が降った時、雨が地表を簡単に流れてしまい、土砂が混じった雨水が川に流れ込んでしまいます。また、このような森は保水力に欠けているので、雨がしばらく降らない時は川の水が不足し、また雨が降った時は急激に川の水が増えてしまいます。

下草が生えている森林

一方、手入れが行き届いた日当たりの良い森は、下草がちゃんと生えています。このような森では雨が降っても下草がクッションの役割をするため、雨粒が直接地面に当たって地面が固まるということにはなりません。次に雨が降った時でも、雨水は一度地面に染み込むことができ、ゆっくり川に流れ込んでいきます。このような森では雨水が地下に蓄えられているので、雨がしばらく降らなくても川の水が不足することはなく、また雨が降った時でも急激に川の水が増えることはありません。このようなことからも、下草がとても大切な役割をしていることがわかります。

調査結果

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清流基準調査

四万十川の水質や生態系を把握するため、清流基準調査を実施しています。
また、清流基準調査とともに、水生生物の調査も実施しています。
これらの調査結果は、人工林の間伐が生態系に与える影響について教えてくれます。

調査方法

四万十川清流基準調査方法

四万十川清流基準調査は、環境基本法に定められた清流基準をもとにして、中高生をはじめとする流域住民が参加して行っています。
四万十川本流に4箇所、支流に8箇所、合わせて12箇所の調査地点があり、1年に4回この調査を実施しています。
12箇所の調査地点のうち、四万十高校は、四万十川の支流である梼原川が四万十川に流れ込む手前にある「多野々」という地点と、その梼原川が四万十川に流れ込んだ直後にある「吾川」という地点の2地点で調査を担当しています。

調査地点

清流度(透視度)とは

清流度とは、水平方向の透明性を現すものです。これは簡単に言うと、水中を覗いてどれぐらい遠くの魚を視認する事が出来るかというものです。
濁りのわずかな変化によって透視度は大きく変わります。清流度調査は、専用の器具でつや消し黒で塗装された円盤を覗いて、どれぐらい遠くまで視認する事が出来るか、という方法で調査しています。

清流度の調査方法

水生生物について(水質階級判定基準)

水生生物調査は、川虫などの水生生物を捕獲し、それぞれに設定されたスコア値の平均や取れた種類などから、その川の水質を測るというものです。
水生生物は、短期間での環境変化に影響される事がありません。そのため、長期間での環境変化を測り取る事ができるといわれています。

指標生物とスコア値

例えば、サワガニやカワゲラなどでは9、ヒゲナガカワトビケラやカワニナなどでは8、ヒラタドロムシやプラナリアなどでは6、など、それぞれの生物にスコア値が設定されていて、この値が高ければ高いほどその生物が棲む川はキレイであるとされています。

また、例えば、採れた種類が6種、平均スコア値が7.2だった場合、平均スコア値だけを見れば水質階級は2級と見る事も出来ますが、6種しか採取出来ていないので、低い方の値を取って水質階級は4級になります。

水質階級

調査結果

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