SUTENAI CIRCLE

つなげるーぱ!

一人でも多く、循環型社会づくりのチームメンバーになってもらうために。子どもたちが自ら参加したくなるきっかけづくりを考える

取材日 2023.09.14

回収ボックスのイメージを4-5人のグループで手書きでまとめる様子

今回、伺った学校はこちら

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鳥取市立湖山小学校

児童数:421名
都道府県:鳥取県
特徴:湖山地区の住宅地の中にあり、近くには鳥取大学があります。学校の教育目標に「志をもち 心やさしく 最後までやりぬく子どもの育成 〜つよく やさしく たくましく 〜 」を掲げている。

湖山小学校の外観、ピンク色の壁と校庭

今回の記事のポイント

  • 子どもたちが自発的に取り組みたくなるような仕掛けを多く用意した授業を実施。湖山小学校の生徒たちの意欲・意識の高さがよくわかる時間に
  • 「どうやって様々な人を巻き込み大きな活動にするか」を考える作戦会議では、子どもたちの得意・好きなことを活かしたアイデアがたくさん見つかる
  • 子どもたちだけでなく、コクヨで働くメンバーにとっても学びになり、意義がある取り組みに

活動紹介

鳥取空港から車で5分、鳥取砂丘にも車で15分、近くには日本最大の池である湖山池がある。そんな場所に位置する、鳥取市立湖山小学校。児童数421名の、鳥取市の中では比較的大きな小学校です。係の号令で「よろしくお願いします!」と元気の良い挨拶をした後、まずは、コクヨについての紹介から今回の活動は始まりました。

「私たちは地球がいつまでも元気でいられるようにするために新しい取り組みを始めます。みんなもチームの一員になってもらいたくて、協力のお願いにきました」と呼びかけると、子どもたちにもグッとやる気がみなぎった様子でした。

コクヨメンバーが子供たちに向けて話しかける様子

子どもたちが授業に対して積極的になれるように、「1分間で、この教室の中にあるコクヨの商品を探してください」と、教室内でコクヨの商品を探すアイスブレイクのゲームも用意。ゲームが始まると、自分の机の中、ロッカーの中など、全員が教室中を歩いて一生懸命に探します。ノート、定規などの文具類に加えて、なんと机や椅子もコクヨの製品であることがわかり、毎日使っていたものの中にコクヨが関わっていたことを初めて知った子も多かったようです。

導入を終えると、スライドで「つなげるーぱ!」についての授業に移ります。子どもたちから「リユース」「リサイクル」などの言葉も飛び交い、子どもたちの意識の高さに驚きました。
前半では、コクヨが作ってきたノートの数、子どもたちが年間で使うノートの数や、そのうち燃やすゴミで捨てられる割合などの数字を具体的に伝えたり、リサイクルしないと地球がどのようになるのかを説明していきます。

後半では、紙は何からできているのか、リサイクルできるもの・できないものについてなど、図を使って分かりやすく、質問しながら丁寧に進めていきます。最後に実際に集めたノートがどのように新しい紙に生まれ変わるかの動画を見て、コクヨメンバーから担任の先生へバトンタッチ。リサイクルをすることで地球が守られていくことを知った子どもたちは、いよいよ学校中からノートを集めるための作戦会議へと移ります。

白い紙、ノートパソコン、筆箱を開けてグループごとに議論する様子

「今回、この授業を受けているのは4年生だけ。私たちしかこのことを知りません。どうしたら全校生徒にこの取り組みを知ってもらえるだろう?」という先生の呼びかけから、3つの班に別れて話し合いをしていきます。先生の問いかけに勢いよく動き出している様子が印象的で、授業内容をしっかりと理解してくれていることが伝わってきました。
8人ほどのグループで話し合う子どもたち。仲間と話し合うことによって、アイデアがどんどん出てきます。

・使ったノートを入れてもらう箱を目立つようにして置く
・ポスターを作って、取り組み自体やどのようにリサイクルされるかを知らせて興味を持ってもらう
・全校生徒に聞いてもらえるように校内放送をする
・朝の読書時間に、1クラスずつまわって説明しにいく


など、少しの時間でもさまざまな意見が飛び交いました。
中には、実際にポスターを作り出したクラスもあり、自分たちの得意なこと・好きなことを活かし合いながらあっという間に作り上げていきます。絵を描く子、文字を書く子、リサイクルのオリジナルソングを作る子、タブレットでリサイクルマークを調べる子など、一人一人の個性が光っていました。制作の時間が終わっても取り組みを続けている子が多くいて、大人たちは驚くばかり。

最後にまとめとしてコクヨメンバーから「リサイクルするには、たくさんの人の力をつなげる必要があります。コクヨだけではできず、みんなと手を繋いで、「つなげるーぱ!」の輪を広げていきたいです。手伝ってもらえますか?」と伝えると、「はい!」と力強い返事が。
これから、このプロジェクトを自分ごと化した子どもたちが、どのようにノートを集めるのか、どのくらい集まるのか、とても楽しみです。

インタビュー

答えてくれた人
答えてくれた人

コクヨ株式会社 ステーショナリー事業本部 小島 万実さん
株式会社コクヨMVP 統括部 三原琴美さん
株式会社コクヨMVP 統括部 山本雄二さん
株式会社コクヨMVP 統括部 白井淳さん

コクヨ株式会社のインタビューに答えた4人が横並びで立っている(左から 小島さん、白井さん、山本さん、三原さん)
どうしてこのような取り組みをはじめたのですか?

小島:これまで環境に配慮した材料で作ることはしていましたが、使った後はどうなっているのかわからないという現状がありました。それならば、回収してリサイクルするまでを見届けようと考え、約1年の構想を経て、「つなげるーぱ!」がスタートしました。

4人が笑顔で話している様子(左から 山本さん、白井さん、三原さん、小島さん)
「つなげるーぱ!」が目指していることについて教えてください。

小島:子どもたちに循環型社会の一員になってもらって広げていくことです。循環型社会をつくるには、コクヨだけでは難しいです。そのため、子どもたちにいかにこの取り組みの協力者となってもらえるか、一緒にメンバーとして広げてもらえるかがとても重要だと考えています。

「つなげるーぱ!」では、小学生にとって身近にある文具であるノートのリサイクルを通じて、自分が循環型社会の一員であるということをより感じてもらえる体験を提供しています。子どもたちに対する授業では私たちが先生のように教えて終わりではなく、いかに自分ごと化してもらえるかを工夫して設計しました。自分たちで役割を持って、自分たちの行動が地球の未来につながることを体感してもらえると嬉しいです。

真剣な眼差しで、話す様子(三原さん)
実際に、授業をしてみてどうでしたか?

山本:小学校に入ること自体がとても久しぶりだったので、とても緊張していましたが、びっくりするくらい子どもたちがフレンドリーでした。積極的に参加してくれたので、私自身もとても楽しかったです。しっかりと話を受け取ってくれて、「頑張るよ!」という声が聞けて、すごく嬉しかったです。

白井:こちらから説明する前に「リサイクル」や「エコ」という言葉が聞こえてきたのに驚きました。SDGsや環境に対しての教育が根付いているんだなと感じられ、すごく新鮮でした。

三原:事前に内容を見た時になかなか難しい内容だなと思ったのですが、実際にやってみると、すんなりと理解してくれていたので安心しました。教室でのコクヨ商品探しも盛り上がってよかったです!

小島:45分間、長いかなと思いましたが、すごく集中して授業を受けてくれていました。子どもたちの作戦会議のところで「リサイクルの歌」を即興で作ったりもしていて、子どもたちのアイデアは柔軟で、独創的だなと驚きました。

真剣な眼差しで、話す様子(山本さん)
真剣な眼差しで、話す様子(白井さん)
今後の展望について教えてください。

白井:オフィスや工場で仕事をしていると実際に商品を使っているお客様に会うことが少ないので、このような機会・接点を増やし社会に対して私たちができる事をもっと考えていきたいです。子どもたちの生の反応を見ることは、従業員にとっても、すごく良い機会だと感じました。社内にも呼びかけて、参加する社員を増やしていきたいです。

山本:今回授業をさせていただき、この構成で他のメンバーにも役割を担ってもらえたらと思いました。実際に先生たちがどのように授業をしているのか、それぞれの工夫や声かけの様子なども間近で見られ、非常に勉強になりました。もっと楽しく、分かりやすい内容になるよう、そのパッケージ化もしていきたいです。また、自分たちの授業を振り返り、ブラッシュアップし、レベルを上げていきたいと感じました。

小島:今回の湖山小学校での授業は、鳥取市の職員の方に興味をもっていただき、そこから少しずつ協力の輪が広がり実施することができました。循環型社会には社会全体の協力が必要なんだなと改めて実感した出来事でした。少しずつ共感、協力の輪を広げ、「つなげるーぱ!」の輪をどんどん大きくしていきたいです。
実際に自分が使い終えた物が、また素材となってリサイクルされ戻ってくるという体験は、とても貴重だと思っています。今の小学生が集めたものから作ったノートが、次に小学生になる子へのプレゼントになっていたり、ノート以外の紙製品に活用することもできるかもしれません。文具をリサイクルする一連の体験を、未来を変える力として、今後もこの取り組みを全国各地に広げていき、大きなうねりにしていきたいと思います。

執筆・撮影:小笠原舞
編集:中西 須瑞化・田中 美咲

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