社会
労働安全衛生
従業員の安全
私たちは、安心・安全で快適な職場環境の整備や災害時の安全対策が、従業員一人ひとりがいきいきと働き、その能力を最大限に発揮するための重要な基盤であると考えています。この考えのもと、安全衛生のグループ統括機能である「コクヨグループ中央安全衛生委員会」が中心となり、各事業所の安全衛生委員会と連携しながら、従業員との活発な意見交換を通じて仕組みや体制の整備を進めています。そして、「労働災害ゼロ(ゼロ災)」の実現を目指して、日々の安全衛生活動に取り組んでいます。
また、労働基準法違反の防止に向けては、本社所在地の労働基準協会や雇用開発協会に幹事企業として参加し、監督官庁からの情報発信や指導事項を適時把握・対応しています。さらに、社内の専門部門による定期的な法令モニタリングを実施し、最新の法令遵守とリスク管理の徹底を図っています。そして、万一インシデントが発生した際には、速やかに経営層へ情報を共有し、リスクを最小限に抑えるための対応体制を整えております。
コクヨグループ安全衛生基本方針
【基本方針】
Safety First!コクヨグループは、一人ひとりの心と体の健康と安全を事業の基盤と位置づけ、安全活動を推進します。
【行動指標】
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1.労働安全衛生法などの関係法令ならびに社内の指針・基準を遵守します。
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2.継続的且つ自律的な職場改善を促すとともに、労働災害や疾病の予防に努めます。
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3.グループの事業にかかわる全ての人の安全と健康を確保するため、全員参加型の風通しの良い風土作りを推進します。
2024年度の取り組み
コクヨグループ 建設業 及び 工場「安全大会」
コクヨグループでは、毎年7月第1週の「全国安全週間」(※)に合わせ、全国各地で安全意識の向上を目的とした「安全大会」を開催しています。安全大会では、過去一年間の労災事例の分析と類似災害防止に向けての注意喚起や、優れた安全活動の表彰など、各地で工夫を凝らしたプログラムが展開されました。締めくくりには全員で「ゼロ災コール」を唱和し、安全に対する意識を新たにしています。
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※厚生労働省と中央労働災害防止協会の主唱により、「産業界での自主的な労働災害防止活動を推進するとともに、広く一般の安全意識の高揚と安全活動の定着を図ること」を目的として実施するもの
【建設業】コクヨグループ建設業安全衛生大会
コクヨ建設業安全衛生推進委員会は「企業の成長を支える基盤は、従業員と仲間の安全と健康である」という考えのもと、全国7会場において、コクヨグループ建設業安全衛生大会を開催しています。第1部では昨年度の災害事例共有に続いて優秀安全衛生推進者の皆様の表彰を行い、第2部では外部講師を招いての安全講話も行いました。最後に安全大会スローガンを全員で唱和し、これからの1年間の無災害を誓いました。
【工場】コクヨグループ国内工場での安全大会・安全パトロール
国内主要6工場では安全大会と安全パトロールを実施しました。前年度の労働災害データの共有、安全への取り組み方針の説明、テーマ研修、決意表明などが行われました。 安全を守る風土を未来に繋げていくために、これからも拠点ごとに年に一度立ち止まって安全を考える場を設けてまいります。



【開発】ものづくり安全大会・安全パトロール
コクヨ商品の開発や品質検査などを行う大阪のワークショップと、品川X-stageを結んだハイブリッド形式で、安全大会及び安全パトロールを実施しました。
工場だけでなく、開発現場においても機械工具や多くの化学物質を扱うため、労働災害防止を従業員に改めて周知・確認する場として開催しています。ハイブリッド開催の利点を活かし、在宅勤務者や東京品川の従業員も参加することで、大人数での開催を実現し、多くの従業員の安全意識を高めました。
「拡大_中央安全衛生委員会」の開催
コクヨグループでは、製造や物流の現場でフォークリフトを運転する事業所の安全担当者を対象に、「拡大_中央安全衛生委員会」をコクヨ三重工場およびコクヨロジテム三重配送センターにて開催しました。当日は、フォークリフトの安全に関する専門知識を持つ外部講師をお招きし、各事業所の取り組みの共有や現場視察に加えて、リスクアセスメントの実施とその内容に対する具体的なフィードバックをいただきました。講師からは、現場の安全管理における重要な視点や、見落としやすいリスクへの気づきなど、日常業務では得がたい貴重な知見が提供され、参加者にとって大変有意義な機会となりました。これらの学びを通じて、今後の安全活動に役立つ多くのヒントや改善の糸口を得ることができました。「拡大_中央安全衛生委員会」は、今後もテーマを柔軟に設定しながら、グループ全体の安全意識の向上と現場力のさらなる強化に取り組んでまいります。
工場社員向けマネジメント研修の実施
工場の従業員の中長期的な育成の一環として、コクヨグループ中央安全衛生委員会とコクヨアカデミアの協同企画により、リーダー職を対象としたマネジメント研修、および将来のリーダー候補である若手層を対象に、コミュニケーションや課題解決をテーマとした2日間の集合研修を実施しました。各プログラムでは、自己開示と相互対話、課題解決に向けたワークを繰り返し行うことで、自身のリーダーシップ像を描いていく内容となっています。今回は三重工場・芝山工場を対象としましたが、今後は他のグループ生産工場への横展開を検討しています。
従業員の健康
【Well-being:健康経営】
コクヨは、「従業員の健康とワークエンゲージメントの向上」を、Well-beingの基盤と考え、健康経営を推進しています。
【健康経営宣言】
サステナブル経営指針に沿った健康経営を推進するために健康経営宣言を制定し、健康経営推進に努めてまいります。
健康経営宣言
コクヨのサステナブル経営指針「自律協働社会の実現に向け、ワクワクする未来のワークとライフをヨコクし、事業を通じて持続可能な社会を牽引する」を実現するためには社内外のWell-being向上が重要であると考えています。
《Well-beingを向上させる3つの重点施策》
- 新しい働き方の提案
- ダイバーシティ&インクルージョン&イノベーション
- 従業員の健康とワークエンゲージメントの維持・向上
「幸福」「健康」を意味するWell-being。コクヨは、その主役である従業員の心身の健康とワークエンゲージメントを維持・向上させ、活き活きと働くための様々な施策を、従業員・健康保険組合・労働組合と共に推進し、そこで得られた気付きや行動を社会のWell-being向上につなげていくことが、コクヨの健康経営と位置づけ、これを推進します。
推進のための仕組み
健康経営6つの重点取り組み項目
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01
健康管理
健康診断とその結果に対するフォローアップと、
疾病を予防するための検診メニューにより、
従業員の健康維持・重症化予防に努めます。 -
02
働く環境
従業員の働く環境の継続的改善を図り、
心身共に安全で健康に働くことのできる職場を
目指します。 -
03
メンタルヘルス
ストレスチェック、
従業員サーベイなどから得られた結果をもとに、
従業員のメンタルヘルスの向上に努めます。 -
04
新しい働き方
多様な働き方を実践するとともに、テレワーク推進、
残業時間短縮、年休取得促進、育児・介護支援、
仕事と家庭の両立などへの取り組みを行います。 -
05
健康意識の向上
従業員が自ら健康増進に向けて考え、
取り組んでいけるよう、健康増進情報の発信と教育を
実施します。 -
06
ワークエンゲージメント
従業員一人ひとりが活き活きと働くことのできるよう、
組織風土の課題を明確化し、対策を実行することで
従業員のワークエンゲージメントの向上に努めます。
健康経営推進体制
健康経営を推進するため、2022年度よりサステナブル経営体制Well-being部会の中に「健康経営タスクフォース」を設置。
中央安全衛生委員会・リスク委員会・健康管理スタッフ・グループ各社健康推進者・健康保険組合・労働組合と、健康経営タスクフォース(人事部門)とが連携し健康経営施策を推進しています。
- ※健康管理の具体的なデータについては、こちらに掲載しています。
コクヨ健康経営 戦略マップ
健康経営を推進するにあたり、健康経営における目的・課題・効果・投資を体系的に整理しています。
- ※戦略マップでは、左から投資・効果・課題・目的の順で描かれています。
2024年の取り組み
コクヨグループ健康目標と2023年結果
健康経営推進にあたり、直近の状況を踏まえて、以下の注力モニタリング指標と目標値を設定しています。
指標 | ワークエンゲージメント | プレゼンティズム |
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課題の状況 | 現状の自社のワークエンゲージメント指標は、直近でC+(2.47、偏差値53)との評価となっている。 まずは、全国平均値(2024年:52.7)を上回る状態を維持しつつ更なる向上を図っていく。 |
世間平均に比してプレゼンティズムによる損失が大きい。 過去データから残業時間とプレゼンティズムに強い相関が確認できており過重労働対策を軸に、まずは世間同など水準を目指す。 |
目標値 | 2.27(偏差値65、B相当) | 15 |
当初値 (2023年初) |
2.47(偏差値53.1、C+) | 21 |
現在値 (2024年初) |
2.43(偏差値54.7、C+) | 21.5 |
「健康経営銘柄2025」に選定
2025年3月11日、コクヨは、健康経営に優れた上場企業として、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「健康経営銘柄2025」に選定されました。また、コクヨとカウネットが経済産業省と日本健康会議が共同で選出する「健康経営優良法人 2025(ホワイト500)」に、コクヨマーケティングが「健康経営優良法人 2025(大規模法人部門)」に認定されました。
健康経営銘柄は、東京証券取引所に上場している企業で、従業員などの健康管理を経営的な視点で考え戦略的に実践する企業の中から、健康経営の取り組みが特に優れた企業を選定する取り組みです。健康経営優良法人認定制度は、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する制度。コクヨグループでは、2022年にアップデートされた「コクヨ健康経営宣言」(2019年10月 制定)に基づき、今後さらにWell-beingの向上、健康経営増進の取り組みを進めてまいります。

働く・暮らすの実験場「THE CAMPUS」を通じたコクヨの健康経営ノウハウの発信
2021年2月に東京・品川に、働く・暮らすの実験場「THE CAMPUS」をグランドオープンしました。
「THE CAMPUS」は、コクヨが「NEXT EXPERIENCE」(=長期的視点で社会課題解決に取り組んでいくこと)の活動を通じて、未来につながる価値を探求するため、さまざまな専門性や経験を持つ人々と全館通して実験・実践する場所として設立されました。これまでコクヨが実践してきた健康経営の知見やノウハウ、従業員や来訪者の心身の健康と安全・安心を守る提案を「THE CAMPUS」を通じて広く社会に発信し続けています。
主な従業員や来訪者の心身の健康と安全・安心を守る提案
- テレワークなどの進展に伴い増加するメンタル不調の課題対策
コミュニケーションの増大や、目的別や組織を超えた新たな関係性の構築促進、集中・没頭やリラックスを目的にあわせてコントロールできる空間や家具・什器・文具などの発信 - 感染予防対策
実験検証に基づく、飛沫・接触・エアゾル感染の感染対策や、IoTを活用した行動分析をもとに感染者と濃厚接触者の行動を可視化
など
以上の取り組みが評価され、世界的な基準で「健康・安全性」を評価する「WELL Health-Safety Rating※」を国内の複合施設で初めて取得しています。
- ※「WELL Health-Safety Rating」は、コロナウイルスの流行を受け2020年6月にWELL認証運営機関のIWBI(International WELLBuilding Institute)により新しく公開された認証制度です。感染症対策(covid-19など)をはじめ、その他の緊急事態対策、施設の清掃や消毒、空気や水の管理方法などの評価項目を、第三者機関による審査で評価されます。
取り組み
マネジメント改革の取り組み
2023年度は中長期の持続的成長のためには特に経営とマネージャーによるマネジメント改革が急務と位置づけ、伴走型のマネジメントスタイルの実践に取り組みました。具体的には業務を進める上で発生する課題を経営・マネージャー皆で解決するための1on1トライアルによりコクヨにおける1on1の型や仕組みの整備をしたり、業務の偏りを解消し市場価値の高い仕事をする環境を整えるための業務フォローアップ活動を実践しました。これは各レイヤーごとに役割責任を定めた上で上位層からメンバーに積極的に関与していき、工数予測とタイムリーな状況把握によりそれぞれが抱える困りごとを早期に解決していく取り組みです。これらの効果もあり残業時間は大きく減少し時間の使い方の変化につながりました。
2024年度は、上記の取り組みの定着化を図るとともに、休暇取得のハードルを下げる取組を実施していきます。
女性の健康課題
【課題背景】
これまで女性の働きやすさを考慮した取り組みが少なく、「女性が働きづらい」「男性と比較して育児や介護の両立がしづらい」という声が多数ありました。社員構成としても、世間と比較して若い女性が多く、女性ホルモンによる健康課題や育児・出産などのイベントに関わる社員が増加しました。
そのため、2023年度以降、これまで以上に女性のワークライフバランスと健康課題を会社として支援し、より働きやすい会社になるよう重点的に取り組みました。
【取り組み】
- 女性の健康課題に特化した産業医による相談窓口を開設
- 保健師による社員との接点強化として『ウェルネスステーション』を開設。気軽に社員が産業保健スタッフに相談できる場の提供を開始
- 女性活躍推進に向けた健康面の課題解決のため、性別に関係なく働きやすい職場を目指し、コクヨ産業医による【女性特有の健康課題(PMS・更年期障害、子宮頸がん・乳がん)セミナー】を実施。男性社員にも積極的な参加を推奨
- 出産や育児などライフイベントを想像して不安を持っている世代対象のセミナー・座談会・先輩社員との交流会を実施
- 生理用品の備品化:・花王『職場のロリエ』協力のもと本社トイレに生理用ナプキンをテスト設置
- 40歳以上に乳がん検診の実施を拡大、健保による補助金体制を確立。
(品川・本社オフィスだけでなく、芝山・三重工場でもマンモグラフィー検診車と乳腺エコー検査技師の派遣)
福利厚生施策との連動
選択型福利厚生制度(制度名:PLAY WORKマイレージ)において、「健康」を重点分野の一つに定め、従業員の健康増進活動を後押しする以下の仕組みを運用中です。
<従業員の健康増進に関する自己投資の支援>
従業員が健康増進活動をする際に生じた費用について、自分のポイントを用いて補助を受けることができる仕組みで、人間ドックのオプション受診や医療費、各種健康用品の購入費用に利用できます。2023年度は約236百万円の利用がありました。
従業員の健康増進活動の促進
軽度の運動や日々の生活の中で健康を意識した行動を習慣化することによる健康づくりを実践してもらうため、ウォーキングや日々の生活習慣の記録状況に応じて、上記選択型福利厚生制度での補助受給に利用できるポイントを獲得できる仕組みを運用しています。より多くの社員の参加を促すため、チーム単位で歩数を競い合うなどの「ウォーキングキャンペーン」企画も期間限定で実施しています。
また、従業員の身体不調に関する健康リテラシー向上および改善を目的に、セミナー・サーベイ・トレーナーによる個別指導をセットにしたウェルネスプログラムも実施しました。
定期健診徹底活用プログラム
定期健診受診前後に産業医によるセミナーを実施して、受診結果を次回に向けた改善につなげられるように、従業員の健康をサポートするプログラムです。オンライン形式で開催し、従業員のご家族にも参加頂けるようにしています。
禁煙・分煙
日本たばこ産業株式会社(JT)が実施している全国喫煙者率調査に比べ、コクヨグループの喫煙者率は、特に男性は「かなり高い」状態です。2020年4月11日より、多くの人が利用するすべての施設が原則屋内禁煙となったことに合わせ、全国事業所の屋内喫煙施設を全面廃止、継続的に禁煙啓発活動を行っています。
感染症対策について
新型コロナウィルスの感染拡大は世界中の人々の生活や活動に多大な影響を与えました。また、HIV/エイズ・結核・マラリアなど世界三大感染症をはじめとする感染症も健康における大きな課題となっています。コクヨグループにおいても、特に海外赴任者や海外出張者に向けて、赴任前研修や外務省海外安全ホームページ、予防接種の案内/費用補助などを通じて、健康管理の重要性や感染症リスクについて啓発を行うとともに、海外赴任者・海外出張者とも利用できる医療アシスタンスサービスを契約しています。
また、海外赴任者ご本人と帯同しているご家族の健康面に関してのサポートとして、産業医および健康管理スタッフが対応する海外赴任者相談窓口を設置し、健康で安心な海外生活ができる体制を構築しています。
(コクヨ健康保険組合)コラボヘルス推進
コクヨ健康保険組合では事業主と連携して、コラボヘルスの推進に取り組んでいます。
健康診断・がん検診については、事業主と共に以下の対策を実施しています。
- ネットワーク健診の利用により健康診断(人間ドック含む)を全国の健診機関で受診することができ、被保険者と被扶養者が同一健診機関で同時受診可能
- 大腸がん検診は、2022年より健康保険組合から事業主に補助を行い、事業主の実施する健康診断に大腸がん検診を組み込むことで、全社員に大腸がん検診を実施
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子宮頸がん、乳がん検診に対して補助上限を引き上げ
-2020年に乳がん検診補助上限を引き上げ(実費補助)
-2023年に子宮頸がん検診補助上限を引き上げ(実費補助) - 前立腺がん検診に2023年より補助を開始
- HPVウィルスとPSAの郵送検査を2023年より開始
(上記の子宮頸がん検診補助、前立腺がん検診補助を受けていない被保険者への対策)
また、24時間365日被保険者も被扶養者も利用できる「こころとからだの24時間相談ダイヤル」を事業主と共に開設しており、健康・医療・介護・育児・メンタルヘルスなどの相談ができる他、2023年より健康アプリを導入して運動習慣・食習慣・睡眠習慣などの改善に取り組んでいます。
メンタルヘルス対策
コクヨグループでは、法令に基づき、年1回の「ストレスチェック」を実施しています。
このストレスチェック実施期間外も、従業員一人ひとりが気軽にセルフケアを受けることができる体制づくりのため、外部機関が運用するEAP(従業員支援プログラム)も導入し、従業員自身の負担感への気付きを促し、早期に予防のサポートができる環境づくりを行っています。
また2021年からは、「ストレスチェック」に加えて、働き方や職場の課題の定点観測とより良い組織づくりに向けたチームでの対話の促進を目的とした『パルスサーベイ』を毎月実施しています。
これらのサーベイ結果や人と組織のデータを総合的に見ながら事業部門と人事部門が対話し、優先的に取り組む課題の抽出とその対応策を実施しています。