社会

人材

働き方改革とダイバーシティ&インクルージョン

2024年の取り組み

CASE

ダイバーシティオフィス「HOWS PARK(ハウズ パーク)」

本社オフィスの1階にインクルーシブデザイン手法を用いたダイバーシティオフィス「HOWS PARK(ハウズ パーク)」を構築しました。構築の初期段階から、聴覚・精神・下肢障がい・車椅子ユーザーなど様々なリードユーザーとの対話を重ね、誰もが安心して使いやすいオフィス空間を実現しました。このオフィスは、コクヨの考えるインクルーシブデザイン(HOWS DESIGN)を行なう実験場であり、2024年度は100回を超えるワークショップを開催しました。その結果、新商品に占めるインクルーシブデザインの割合26.6%をこのプロセスから生み出しました(目標は20%)。

家具の形状や高さ、視認性、安心できる距離感など、多様性に配慮した「HOWS PARK(ハウズ パーク)」
家具の形状や高さ、視認性、安心できる距離感など、多様性に配慮した「HOWS PARK(ハウズ パーク)」

仕組み

多様な働き方を実現するための諸制度(※)

従業員のライフステージに応じた働き方や多様なキャリア形成を実現するための、制度の充実を図っています。

産前産後休暇 産前6週間(多胎妊娠の場合14週)、産後8週間
配偶者出産休暇 配偶者の出産時に認められる休暇、1回につき2日
育児休業 子どもが満2歳に達する日まで(4月生まれの場合に限り満2歳の4月末日まで)
子の看護等休暇 小学校6年生修了時まで、1年間に5日、2人以上の場合1年間に10日まで(時間単位での取得も可)
給与・賞与に影響のない休暇として扱う
介護休業 要介護者1人につき、通算183日まで(3回まで分割取得可)
介護休暇 要介護者1人につき、1年間に5日、2人以上の場合1年間に10日まで(時間単位での取得も可)
給与・賞与に影響のない休暇として扱う
短日・短時間勤務 育児の場合、子どもが小学校3年修了時まで/介護の場合、要介護者1人につき3年まで
ウェルネス休暇 生理休暇の名称を変更し、PMS・妊婦健診、男女不妊治療にも利用できる休暇にアップデート
コクヨ式ハイブリッドワーク オフィスワークとリモートワーク(在宅勤務など)を併用した働き方を推進
コアタイムのないフレックスタイム制 メリハリをつけて時間を有効活用することを推進
自己都合退職者再雇用制度 結婚・出産・育児・介護・配偶者の転勤・留学・ボランティア・転職、およびその他会社が認めた事由により、自己都合で退職した正社員が対象。コクヨグループの外で過ごした間に培われた経験・知識がグループ内にもたらされ、グループのダイバーシティがさらに広がることが期待されています。
定年退職者の再雇用 原則として60歳定年後もコクヨグループで勤務を希望する従業員全員が、シニア社員として勤務を継続することが可能。従業員が定年後も社会で活躍できる機会を提供するとともに、これまでの勤務で培われた豊かな経験・知識が活用され、後進の育成に寄与されることが期待されています。
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「コクヨ式ハイブリッドワーク」の実践

2022年より、「コクヨ式ハイブリッドワーク」を開始しました。多様性を尊重しながらチームとして生産性・創造性を高める働き方に挑戦し、個人の成長とチームの成果を共に実現することを目指しています。自分らしい働き方・学び方・暮らし方のバランスが整っている状態を「Life Based Working」と定義付け、多様な人材がそれぞれの「Life Based Working」の実現を通じて、コクヨらしい働き方を実践しています。
例えば、働き方は3つのタイプ(オフィス中心タイプ、バランスタイプ、在宅中心タイプ)から個人が選択し、上司との対話を通じて個人とチームにとって最適な働き方を決定します。定期的にチームで振り返りを行い、働き方をブラッシュアップしています。
また、働く環境の選択肢も拡大し、サテライト型の従業員向け多目的スペース「n.5(エヌテンゴ)」を開設しました。サテライトオフィスとしての利用だけでなく、従業員の自律的で自分らしい働き方・学び方・暮らし方に寄り添う場所として、自主勉強会や個人主催でのイベント開催など、多様な目的で活用しています。

  • 出社は4~5日/週 オフィス中心タイプ
  • 出社は2~3日/週 バランスタイプ
  • 出社は0~1日/週 在宅中心タイプ

様々な団体とコラボしながら新たな働き方の可能性にチャレンジ

コクヨは2023年に、ICTを活用して場所や時間にとらわれない柔軟な働き方である「テレワーク」の普及促進を目的とした日本テレワーク協会のテレワーク推進賞(奨励賞)を受賞しました。また、ワーケーションのさらなる普及促進や実践者の拡大を目的とするテレワーク・ワーケーション官民推進協議会にも参画し、新たな働き方の可能性を追求しています。そのほか、ファザーリングジャパンが発起人であるイクボス企業同盟に2014年12月の発足以来参加しています。部下のワークライフバランスを理解しながら、従業員一人一人の能力を生かし、組織として成果を出すために同じ課題意識を持つ先進企業と知見を共有し、自社のダイバーシティマネジメントのあり方や働き方、職場風土を見つめ直す機会につなげています。

物流現場でのフレックス制度導入

2024年問題など人材にまつわる様々な課題がある物流業界においても、コクヨグループでは積極的に働き方改革を推進しています。
一般的に、物流業界でのフレックスタイム制度の運用は難しいと言われていますが、コクヨロジテムでは2009年にオフィス勤務者にフレックスタイム制度を導入し、2022年には配送センター勤務者にも制度を導入しました。現場での活用率も向上しており、物流業界における柔軟な働き方の実践事例となっています。2023年には、コクヨサプライロジスティクスが配送センター勤務者を含む全員にフレックスタイム制を導入しました。繁閑に応じて業務時間を社員が自律的に選択できることは、可処分時間の創出や心身的な負担軽減が期待され、物流業界における柔軟な働き方の挑戦事例となっています。

ワークライフバランスの実現

コクヨグループではワークライフバランスに配慮して、働きやすい環境づくりに努めています。
これらの取り組みが認められ、グループ3社(※)が「くるみんマーク」を取得しています。
「くるみんマーク」は、少子化の改善を推進する厚生労働省が次世代育成支援対策推進法に基づいて「子育て支援に積極的な企業・団体」に交付しているマークです。

  • 取得会社:コクヨ(株)、(株)カウネット、コクヨマーケティング(株)
くるみんマーク

コクヨグループの障がい者雇用

コクヨの障がい者雇用の歴史は1940年にさかのぼります。現在の本社エリアにあった今里工場に、大阪市立聾唖学校(現在の大阪府立中央聴覚支援学校)の生徒を採用したのが最初です。
コクヨグループにおける障がい者雇用の転換になったのが、2002年に発表された事業構造改革プラン。コクヨ分社化によって生まれる個々の子会社が障がい者雇用にどう対応するかが検討され、2003年9月に特例子会社として「コクヨKハート」が設立されました。さらに2006年12月、知的・精神障がい者の雇用を目的とした「ハートランド」が設立されました。
コクヨグループにおける障がい者雇用率は、2024年6月1日現在で2.55%となっています。

障がい者を雇用し専業で農業を営むコクヨの特例子会社であるハートランド。年間延べ約7,000人もの地域の障がい者雇用を創出
障がい者を雇用し専業で農業を営むコクヨの特例子会社であるハートランド。年間延べ約7,000人もの地域の障がい者雇用を創出

多様性を活かすための取り組み

東京品川オフィス「THE CAMPUS」では、多様性への配慮として、LGBTQ+の方をはじめ、どなたでも利用しやすいオールジェンダーの多目的トイレを設置しています。その他にも、女性だけではなく男性も使いやすい個室タイプの授乳室や、信仰の多様性への配慮として祈祷室を設けています。
また、クリエイティビティの発揮において、人材の多様性は不可欠であると考えており、新卒採用時においては男女比率はほぼ同率とし、様々な経験を持つ人材のキャリア採用にも積極的に取り組んでいます。
多様な人材の活躍に向けては、人材育成機関「コクヨアカデミア」を設立し、事業を担うリーダーの育成にも注力しています。
加えて、育児・介護を担う世代の社員が安心して仕事に取り組める環境作りの一環として、育児・介護とキャリアの両立の支援制度の見直しや、小学校の長期休み時期にはオフィス内学童保育・子連れ出勤を実施するなど、育児・介護を担う世代の”働き方”の変化を検証しています。

人材マネジメント

「事業と人材の同時成長」を基本方針として、事業領域の拡大により多様な事業の集合体となることと、個人の社会におけるキャリアの可能性拡張を両立するような成長サイクルの実現を目指しています。

実現したい「事業と人材の同時成長」サイクル

実現したい「事業と人材の同時成長」サイクル

「人材マネジメントポリシー」の策定

2023年に「人材マネジメントポリシー」を策定しました。従業員のキャリア・能力発揮のために大切にする思想として「人材を社会の財産と捉え、一人ひとりの可能性に伴走しながら、事業成長と社会に貢献できる人材を輩出する」ことを宣言し、経営陣・従業員全員の共通認識としています。

人材マネジメントポリシー

人材マネジメントポリシー

「人材マネジメントポリシー」に基づくアクション

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一人ひとりに光を当て
活躍できる機会を提供する

自ら手をあげ、業務時間の20%程度を活用して他組織の業務に参画できる「20%チャレンジ(社内複業)」には、若手からミドルシニア層まで幅広い社員が参加しています。

キャリア形成の重要な施策として、2024年からは人材流動化の取り組みを開始しました。本人のキャリア志向を尊重したうえで、異動はまだ見ぬ自分の可能性を発見し成長するチャンスと捉え、全社視点で部門や国を超えた多様な活躍の機会を提供していきます。

能力・意欲がある社員の
成長スピードを最大化させる

2024年に人材育成機関「コクヨアカデミア」を設立しました。会社や個人の成長の源泉となるヨコクを描き、実現に向けたリーダーシップやクリエイティビティを磨くことを促進しています。社員の成長を後押しする様々な研修プログラムも実施しています。

若手社員を対象としたキャリア研修「Kokuyo Career Dock」にも注力しています。本研修では若手社員向けの「自己成長プログラム」と、上司向けの「部下育成プログラム」を同時期に進行し、成長やチャレンジについて双方が同じ認識を持つことを目指します。研修には経営層も出席し、若手社員の成長と上司による育成を後押ししています。

また、人事制度では、年齢や経験年数にとらわれず早期にステップアップできる仕組みを運用しています。

チームで価値を創造するリーダー
を育成する

育成を上司任せにするのではなく、周囲の役職者や他部門の上司・人事も一体となって育成に向き合っています。人材育成会議では、社員一人ひとりのキャリアや成長機会の提供について役職者が複眼で討議しています。

基幹職全員に360度アセスメントを実施し、自身のリーダーシップの内省と、さらなる強みの発揮を目指したワークショップを実施しています。

多様で豊かなキャリア形成を
支援する

育児や介護によるキャリアの中断をボトルネックにしないために、ワークルールの改正や両立支援を行っています。
・フレックス勤務者における中抜け勤務ルールの明確化
・子の看護等休暇の対象を小6まで拡大、介護休暇の取得要件の緩和
・ベビーシッターの利用補助、子連れ出勤/社内学童保育の実施 など

産休育休者の評価運用を見直し、評価に空白期間が生じることを解消しました。継続的に能力の蓄積度の把握とフィードバックを行い、本人の成長につなげています。

ミドルシニアのキャリア自律として、これまで原則禁止としていた副業を一部解禁しました。社員が自身のキャリアや成長を自律的に考え、実践できる仕組みを整え、人材の価値の向上を進めています。

「ヨコク」による企業価値の向上

事業領域を拡張する新しい価値の創出には、多様な人材による創造性豊かな「ヨコク」が鍵となります。ヨコクとは、よりよい未来をつくるための意志や挑戦と定義付けています。

当社の価値創出の強みは、顧客が抱える様々な課題に誠実に向き合い、その解決のために従業員一人ひとりが意志・ヨコクを持ち、創造的なアプローチをするところに源泉があります。この強みを最大化させるため、一人ひとりに光を当てた育成を行い、従業員のユニークな個性や強みの発揮を最大化するとともに、ヨコクを実現まで後押しするリーダー育成も行っています。あわせて、ヨコクを発信しやすい風通しの良い風土の醸成や、ヨコクに共感した多様な人材が協働する「結い合う」環境づくりにも注力しています。

人生を育てる
ヨコクの森を育む

2024年の取り組み

新たな挑戦機会の創出

CASE

社内複業「20%チャレンジ」の実施

2020年より、主体的なキャリア形成・能力向上、組織の活性化を後押しすることを目的として、自ら手をあげ、業務時間の20%程度を活用して他組織の業務にも参画する「20%チャレンジ(社内複業)」の取り組みを開始しました。組織側の求人テーマに対し従業員が応募し、求人先の上司と人事でマッチングを行っています。期間は3~12か月で、取り組みでの成果や貢献も個人の実績評価に加味する形で運用し、これまでに370名以上が参加。海外事業の市場調査や戦略推進支援、学びのデジタル化の未来を見据えた研究開発、従業員の環境意識の向上など、所属事業や組織を跨いだテーマにチャレンジしています。また、生産性を高めながら現業の成果を落とさずに「現業80%+新しいテーマ20%」の状態を目指し、業務工数を可視化しながら、本人・上司・人事で対話を行い、業務の見直しや軌道修正を進めています。

2021年 2022年 2023年 2024年
20%チャレンジ参加者数(累計) 129人 189人 266人 378人
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CASE

「コクヨマーケティング大学」「コクヨマーケティング大学院」の実施

「コクヨマーケティング大学」は、新規事業の構想や戦略策定を通じたマーケティングスキルの習得により、顧客起点で未充足ニーズを捉えて課題解決を推進する仕事の仕方にチャレンジするために、社会人経験3~12年目の若手層を対象とした経営答申型実践プログラムです。戦略・マーケティング手法について学んだ後すぐに、得た知識を使ってコクヨの新規事業企画案に落とし、外部の経営戦略プロフェッショナルによるコーチングを受けながら約半年間チームで磨き上げ、最終的に経営に答申する形式です。2017年より取り組みを始め、開発や企画に限らずあらゆる職種の若手の従業員190名以上がチャレンジしてきました。開設から継続的に、卒業生が伴走するメンター制度導入による学びのレベルアップ、卒業生の現業でのアウトプットの変化や新たなチャレンジにつながる異動など、マーケティング大学を起点とした展開やアクションにつながっています。
「コクヨマーケティング大学院」は、未来の事業環境を客観的に考察し、戦略検討する仕事の進め方にチャレンジするために、30~40代の中堅リーダー層を中心にしたプログラムです。経営議論を経て決めた10年先を見据えた事業テーマに対し、外部の経営戦略プロフェッショナルによるコーチングを受けながら、約9か月間チームで磨き上げ、最終的にコクヨの成長戦略を経営に答申します。2019年に開始し、累計130名以上がチャレンジしています。また、卒業生の多くが、全社プロジェクトなどの大きな役割を担う新たな挑戦機会を掴み、成長、活躍しています。

2021年 2022年 2023年 2024年
マーケティング大学
参加者数(累計)
118人 143人 168人 192人
マーケティング大学院
参加者数(累計)
73人 93人 113人 133人
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コクヨマーケティング大学第7期生(2023年)の議論
コクヨマーケティング大学での
議論の様子
コクヨマーケティング大学院第3期生(2023年)の最終発表
コクヨマーケティング大学院の
最終発表の様子
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