ガバナンス

リスクマネジメント

第4次中期経営計画「Unite for Growth 2027」の達成に向け、既存事業のブラッシュアップと新たな事業領域への拡張を進めるにあたり、その達成を阻害するリスクを事前に察知し能動的に打ち手を講じていく必要があります。そのために自らのリスクへの感度を高めるとともに経営と現場が一体となったリスクマネジメント活動を進めてまいります。

リスクマネジメント体制

グループ経営を取り巻く様々なリスクを網羅的に把握・評価し、経営への影響を適切にコントロール(回避・低減・移転・受容)するリスクマネジメントを推進するため、代表執行役社長の諮問機関としてリスク委員会を設置し、リスクマネジメントに関わるテーマについて全社的な立場から審議し、代表執行役社長に答申するとともに重要性や緊急性の高いリスクが認められた場合には、取締役会及び監査委員会に報告することとしています。
適切なリスクとリターンのバランスの下、コクヨグループ全体のリスクを経営戦略と一体で統合的に管理し、ガバナンスや内部統制と一体的に整備及び運用することを図っており、平時においてはリスク委員会を四半期ごとに開催し、グループ内で発生したリスク事象を一元管理する仕組みを構築するとともに、PDCAサイクルを継続的に運用し、再発防止策の確認や重要なリスクへの対応計画のモニタリングを行っています。また、代表執行役社長は、当社の取締役会に対し、当該リスクの管理状況を報告することとしています。

カントリーリスクとITリスクについては、リスク委員会内に分科会を設置し定期的にモニタリングを行っています。
カントリーリスクについては、海外展開のさらなる拡大に伴い、各現地法人と国内関連部門が連携してそれぞれの国、地域の政治、経済情勢などを的確に把握し、適切に対応する体制の一層の強化を図っており、ITリスクについては、海外を含めたソフトウェアやOS、ネットワーク機器などの脆弱性の評価を実施しセキュリティ強化に努めると同時に、情報の取り扱いに関するルールの整備や教育・啓発活動の推進を行っています。このような取り組みを通じそれぞれに対する対策を進めることで、グループ全体のリスクマネジメントの有効性と効率性を高めることを目指します。

推進体制

推進体制図

コクヨにおける事業などのリスク

コクヨグループの経営におけるリスクを、外部環境に関するリスク、事業運営に関するリスクの観点から特定し、対応策を次の通り講じています。事業領域の拡張や新規ニーズの事業化により事業領域も変化していくことから、事業に応じたリスクを認識できるよう注視し、適切な対応をしてまいります。

コクヨにおける事業などのリスクと対応策

事業などのリスク 認識するリスク 対応策
外部環境に関するリスク
経済状況
  • 日本国内の景気変動に伴う企業収益や設備投資などの動向影響
  • 「モノからコト」への事業モデル変革取り組みによる既存領域の事業拡大、新規事業の創出
  • 中国など主要な海外市場の景気の先行き不透明感
  • 各国各地域のカントリーリスクを注視、海外展開のさらなる促進とそれに伴う各現地法人との連携強化
  • 米国の政策影響など、各地域での政治経済・社会情勢の変化や各種規制、ESGをめぐる潮流などの増大
市場環境
  • 市場分散化やデジタル化の潮流による当社グループの優位性の低下
  • 市場環境の変化に対応した事業体制の整備
  • 物流・建設業界の人手不足による当社サービスの品質低下
  • 物流・建設現場の負荷軽減と事業の維持・成長の両立を目指す
有価証券の時価変動
  • 金融市場などの変動による投資有価証券の時価悪化
  • 定期検証、保有意義の確認と売却又は縮減の検討
自然災害・感染症など
  • 大規模な災害など発生による国内外事業活動の一部停止や縮小など
  • BCP(事業継続計画)の継続的な見直しによる実効性の担保
事業運営に関するリスク
法規制の遵守
  • 品質、取引関連、環境、労務、安全衛生、会計基準や税務など各種法規制などへの違反の発見や認定
  • 「コクヨグループ行動基準」の継続的啓発活動の実施
  • 法令の改廃制定などに対して、その対応及び遵守状況の定期的な確認
品質保証
  • 製品のリコール発生による業績・社会的評価への悪影響
  • ISO9001に基づいた品質マネジメントシステムの構築と運用
購買調達・環境への配慮
  • 原材料価格高騰や為替変動などによる業績影響
  • ESG対応不備による業績・社会的評価への悪影響
  • 為替予約や、現地調達比率適正化・調達先複線化の実施
  • お取引先様との相互発展に向けた「コクヨグループサステナブル調達方針」及び「コクヨグループサステナブル調達ガイドライン」の運用
人材及び労務
  • 人材獲得や育成の停滞による将来成長の阻害
  • 労働災害や健康被害などの発生による業績・社会的評価への悪影響
  • 「人材マネジメントポリシー」の策定と人材育成機関「コクヨアカデミア」の設置などによる人材育成への投資を加速
  • カスタマーハラスメントなどを加えたハラスメント研修や、障がい者の安全な職場環境整備など、ダイバーシティ&インクルージョンの推進
  • 国内・海外共通のグローバル安全基準マニュアル策定検討
  • 国内の「コクヨグループホットライン」の外部窓口委託化及びお取引先様への利用範囲拡大
ITリスク
  • サイバー攻撃などによるシステム停止や事実上の機密情報、顧客・個人情報の流出などの被害による業績影響
  • 事業内容の変化拡大に伴う現場での実業務と基幹システムのカバー範囲の乖離拡大による業務生産性や内部統制への悪影響
  • 脆弱性診断の実施によるセキュリティ強化と、ITリスク分科会による定期的なモニタリング
  • システム障害の検知・防御強化や定期的なバックアップの実施
  • 顧客・個人情報の取り扱いに関するルールの整備と従業員などに対する情報セキュリティ意識の啓発
  • 業務プロセスの見直しと基幹システム刷新の検討
企業に対する出資など
  • 事業環境などの変化による対象会社の業績への影響
  • 外部知見取入れによる投資案件審査やモニタリングプロセスの運用・継続的改善
不動産資産の有効活用
  • 事業環境の変化による資産価値の低下
  • 非事業資産の売却検討など、不動産、ネットキャッシュの効率運用
スクロールできます

コンプライアンスの推進

コクヨグループ行動基準

コクヨグループは、事業活動を行っていくうえで、商品の品質、公正な取引を含む取引関連、環境、労務、安全衛生、会計基準や税務、贈収賄、情報管理など様々な法規制の適用を受けています。法規制を遵守し、社会倫理に従って企業活動を行うために、社員一人ひとりが遵守すべき「コクヨグループ行動基準」を制定しています。この「コクヨグループ行動基準」を日々の活動の拠り所としてグローバルに活用してまいります。また、公的機関の職員や政府関係者に対する贈賄行為を明示的に禁止するなど、コンプライアンスの確保を図っています。

ホットライン

コクヨではコクヨグループ全体の内部通報制度として、「コクヨグループホットライン」を設置し、国内においては内部通報の受付窓口を専門の第三者に委託して運営するとともに、お取引先様からの通報も受け付けており、海外からの通報に関してはコクヨ内に設置している受付窓口において通報を受け付けています。2024年度はコクヨグループホットラインにおいて国内外から25件(他に受付窓口に対してコクヨへの報告不要と申告されたものなど6件)の通報を受理し、適宜対応しています。

BCP

コクヨグループでは、自然災害などにより工場やオフィスの機能に被害が生じた場合を想定し、安定的に商品供給を実現するためのBCP(事業継続計画)を策定し、継続的な見直しを行っています。また、地震、風水害、火災、大規模停電、感染症などの甚大な災害が発生した際には、初動対応を適切に実施して被害を最小化することが事業継続において重要となることを再認識しています。また、社員一人ひとりが命を守る行動が取れるよう、防災マニュアルの整備や訓練の実施など事前対策を進めています。
また、ESG/SDGsへの対応に鑑み、災害発生時の非常用電源は、太陽光発電や蓄電池の設置などにより電源確保を進めています。

贈収賄・腐敗行為に関する基本方針

経済産業省策定の外国公務員贈賄防止指針に基づき、2025年1月1日付でコクヨグループ贈収賄・腐敗行為防止ポリシーを作成しました。

PDFダウンロード

コクヨグループ贈収賄・腐敗行為防止ポリシー / kokuyo group anti-bribery and anti-corruption policy

知的財産権の管理に関する取り組み

競合他社との差別化を図るための戦略の一つとして、知的財産権の取得を推奨し、同時に他社の知的財産権を尊重すべく、下記の取り組みを行っています。

1)知的財産権管理・運用体制

国内及び国外子会社の知的財産にかかわる業務をリスクマネジメント本部 法務部 知的財産ユニットにおいて管理し知的財産権活用及び戦略の標準化及び一元化を目指しています。
同ユニットにおいて、発明・デザイン・商標の権利化業務、他社の知的財産権の侵害を防ぐべく徹底した事前調査の遂行、当社が保有する知的財産権保護のための日常的な他社製品のモニタリングに加え、他社と争いが生じた場合には、マネジメントとの連携のもと、迅速かつ最適な解決を目指し対応しています。

2)知的財産権の保護及び法令遵守

「コクヨグループ行動基準」において、他社の知的財産権を尊重することを規定するとともに、知的財産ユニットにおいて、他社の権利の侵害を予防・回避すべく、他社の権利の調査・分析・精査を行う体制を確立・運営しています。また、開発部門に対し、随時研修や日常の業務を通じて、他社の知的財産権尊重及び法令遵守意識向上のための啓発活動を行っています。

3)知的財産権の創造・活用の推進

知的財産ユニットと開発部門は、開発の初期段階から密接な連携を図ることにより、市場での当社製品の優位性の向上を目指すべく、競合他社製品との差別化に貢献する発明の創造と発掘に邁進しています。また、特許法第35条の趣旨に応ずるべく、職務発明報奨制度を社内規定として定め、顧客満足度の向上と当社の発展に資する発明を奨励しています。

情報セキュリティに関する取り組み

情報セキュリティ管理体制を構築し、関連する法令などの遵守および事業を進める上で保有する機密情報(顧客情報、個人情報など)の安全管理に取り組んでいます。

  1. 1.
    情報セキュリティに関する法令・その他の規範を遵守します。
  2. 2.
    個人情報については、コクヨグループの定めている「個人情報保護方針」に準じて管理します。
  3. 3.
    情報資産に対する不正アクセス・情報資産の紛失・改ざん・漏洩などを防止するため、適切な安全対策を講じます。
  4. 4.
    情報資産の管理・利用に関する規定・ルールの策定と見直し、およびそれらに関する社員への教育を継続的に実施します。
  5. 5.
    情報セキュリティに関する管理体制および取り組みについて継続的な点検と改善を実施します。
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