トップコミットメント

CSOメッセージ

内藤俊夫

積極的な成長投資により、
力強い成長を実現していきます。

取締役 執行役 経営企画本部長 CSO内藤 俊夫

経営基盤の強化が着実に進展した第3次中期経営計画

「第3次中期経営計画 Field Expansion 2024(以下、第3次中計)」の3年間は、売上高、売上総利益、営業利益ともに伸長し、収益性の面でも売上総利益率が、3年間で0.5ポイント向上した通り、着実に改善することができました。一方、注力してきた中国事業は、2024年の同国経済の悪化を背景に、特に高付加価値の文房具等の購入を抑制する傾向が見られ、売上が伸び悩むことになりました。オフィス家具も不動産不況の悪化の影響を受けることになった結果、計画当初に掲げた目標に対して未達となりました。一方、政策保有株式売却の前倒しでの実施による投資有価証券売却益の計上もあり、ROEは8.5%と当初計画の8.0%を上回り着地しました。「付加価値」を追求する方針に基づき、管理指標として重視してきた売上総利益率が、2015年の34.7%から4.6ポイントの改善となる39.3%になるなど、これまでの取り組みが着実に収益性改善に繋がっています。

定性面に目を転じると「長期ビジョンCCC2030(以下、CCC2030)」に向けた、成長戦略の具体化が着実に進みました。既存事業の収益力の強化や新規事業の種まきに加え、コーポレート部門、情報システム、戦略投資等、次のステージに繋がる経営基盤を強化することができました。

戦略投資により成長を強く志向する第4次中期経営計画

「第4次中期経営計画 Unite for Growth 2027(以下、第4次中計)」は、CCC2030に向け前中計の2倍以上に成長戦略投資を増額し、力強く成長を実現していくステージとなります。

リスクが抑制でき高い確度でリターンが見込める既存ビジネスを中心とする投資を実行することで、安定的なキャッシュの創出を図り、それを原資としてM&Aや新規事業などでのリスクをとった挑戦を行うことで、ポートフォリオの変革を加速していく考えです。但し、挑戦に際しても、既存事業と隣接する或いはシナジーを生み出す可能性が高い領域に絞り、リスクを抑制していく方針です。デジタルの導入も積極化し、サービス型・ストック型の新たな事業モデルの開発を進めていき、2030年に向けてコクヨグループ全体のビジネスモデルの変革を推進します。

日本ファニチャー事業の生産設備に関してはこれまで更新投資に軸足を置いてきました。裏を返せば、生産性改善の大きな余地が残されています。生産革新投資等を通じ、売上総利益率の更なる改善を図り高い付加価値と価格競争力で圧倒的な差別化を図っていきます。物流面での効率化も進めます。定常投資としての約190億円と、成長投資としての約700億円の大きなポーションを、それら領域に重点投資し、競争力強化に繋げていきます。

M&Aについては、ASEAN、インド、オーストラリアを中心に現地生産、販売の現地化を前提とした事業拡大と新規参入に軸足を置いていく考えです。投資案件を積み上げ、国内外での業界再編なども含めて、様々な可能性を探っていきます。

既存事業への投資は投資実行後、社内の収益基準をもとに、しっかりと投資効果をモニタリングしていく考えです。システムについても業務の複雑化への対応や自動化のための基幹システムの更新投資を進めていく方針です。M&Aに関しても戦略適合性とバリュエーション評価を徹底し、成功確度を高めていきます。

国内外の全事業で「体験価値」を拡張

ファニチャー事業

日本ファニチャー事業は、年平均5%の売上高成長と2024年比1.9ポイント向上の19.3%のEBITDAマージンを目標に設定しています。女性活躍推進や定年延長等の潮流を背景に労働人口の減少が限定的となる中、首都圏を中心に新築ビルの供給拡大に伴うオフィス移転需要やオフィスリニューアル需要の堅調な推移を見込んでいます。コクヨは他に先駆けて空間構築へと事業構造を進化させてきた結果、300名を超える業界最大の空間設計者を擁しており、空間構築が競争の軸となる中でも競争優位性を存分に発揮できると考えています。これまで関係性を構築してきた数多くの大企業のお客様の、遊休不動産の活用ニーズに応えるリノベーション事業等へも空間デザイン力を活かしながら領域を拡張していく考えです。すでに提供を開始したオフィス構築によるパフォーマンスの向上効果を検証するサービス等、人材活性化等のご要望に対応する運用フェーズでのサービス拡充にも取り組んでいきます。2015年の事業会社の再統合以降、営業と生産、開発の連携を強めてきました。かつてのプロダクトアウトから、マーケットインによる最適な製品・サービスの提供と生産性向上の両立を実現し、これが売上高総利益率を高めてきた原動力の一つになってきました。生産性改革投資も絡めながらこのバリューチェーン連携を一層強め、更なる売上総利益率の改善を実現していくとともに、案件対応力とグローバルプロダクトの開発を強化し、国内外で競争力ある製品を投入していく方針です。

海外市場ではリードタイムの短縮とコスト競争力の強化に向けて、部材単位での適地・集中生産に加え、組み立てやローカライズに特化した拠点の整備など、ASEANのサプライチェーン改革も推し進めながら、アジア・オセアニアでの受注拡大を図る方針です。国ごとに異なるニーズに対応した「空間」の構築による差異化も図っていきます。ASEANエリアのミドルハイセグメントをターゲットに、空間設計からオフィスの運用フェーズに至るオフィスライフサイクル全体で「体験価値」を提供し、ビジネスモデルのストック化を図っていく考えです。こうした取り組みにより海外ファニチャー事業は、年平均16%の売上成長と2024年比3.7ポイント向上の13.4%のEBITDAマージンを目指します。

ビジネスサプライ流通事業

ビジネスサプライ流通事業は、年平均8%の売上高成長と2024年比0.7ポイント向上となる7.0%のEBITDAマージンを目指します。BtoBのEC市場は着実な成長が見込まれ、AIの活用による顧客利便性と業務生産性の向上も確実に進んでいくでしょう。当社は、個別ニーズに最適化したサービスで差別化されたプラットフォームを構築していく方針です。プラットフォーム型購買管理サービスである「べんりねっと」「ウィズカウネット」は、2024年10月の富士通コワーコ株式会社からの一部事業譲受もあり、現在合計6,000社以上の大企業のお客様にご利用いただき、約700社のECサイトとも連携しています。今後は大手ECや専門商材サプライヤー、地域のサプライヤー等とも接続を拡大することで、圧倒的な品揃えと利便性を実現していきます。更にAIを使った最適な商品のご提案や、購買管理の負担低減、リスク管理の強化に繋がるサービスも提供していく方針です。全国のリアルの販売店網とECを併せ持つマルチビジネスモデルの強みも活かしながら、大手顧客基盤の継続的な拡大を目指します。将来は、データ分析を通じた、サプライチェーンの最適化等の新サービスの開発も視野に入れていく考えです。

ステーショナリー事業

ステーショナリー事業の日本市場は縮小傾向が継続し、中国も厳しい市場環境が続くものと想定していますが、インドやASEANは人口と所得の増加を背景に堅調な成長を見込んでいます。そうした成長市場の需要を取り込みながら、年平均3%の売上高成長と2024年比0.9ポイント向上となるEBITDAマージン10.6%を目指します。

インドやASEANでは、中国市場でのノウハウも応用しながらB to Cに重点を置く戦略に力点を置いていきます。日本で高いブランド認知度を誇るCampusブランドのグローバル拡販はもとより、「体験価値」を提供できる高付加価値商品で差別化を図っていく考えです。筆記具カテゴリーを含むグローバル展開商品の内製化を進めることで、収益性向上とグローバル展開商品の構成比率拡大にも努めていきます。B to Cでターゲットを学生に据えた場合、現地に浸透したブランドや地産地消のための拠点が必要になり、販売チャネルの面でもネット販売だけではなく販売代理店との提携も重要になるため、それらへの投資も進めていく方針です。

インテリアリテール事業

家庭用家具の市場でもEC化率は年々高まりを見せており、既存事業は店舗とECの連携による成長を目指します。一方、コクヨとアクタス、外部パートナーとの連携強化により法人領域へも領域拡張を進めていきます。アクタスの欧州ハイブランドを高級マンションやホテルに販売することで、レジデンス領域へも拡張し、ポートフォリオの変革を進めていく方針です。

更なる変革に貢献

私は1985年にコクヨに入社し、「良いものを安く大量に生産する」から、「お客様の多様な未充足ニーズに応えるものを提供する」よう、時代に合わせながら大きく変容していくコクヨを見てきました。多様な個性を持った社員が増え、フラットな組織にもなりました。コクヨは今後、「人のお役に立つ」という創業者の信念と併せ、こうした社風も守りながら、大胆に変革していくことになります。私も社長の黒田を支えながらその変革に貢献していきたいと考えています。

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