コクヨのサステナビリティ CSVメッセージ

CSV Message サステナブル経営を通じて、成長戦略としての森林経営モデルの具現化を進めていきます。

執行役員 理財本部長兼CSV本部長梅田 直孝

マテリアリティの取り組みを社内文化として浸透

コクヨのサステナブル経営については、この一年、ステークホルダーの方々とのエンゲージメントを通じて、さまざまなご質問をいただきました。その中で、特に多かったのが、マテリアリティに関するご質問でした。マテリアリティの設定に対して、それが価値の向上や競争優位の構築、事業の独自性にどのように結びつくのか、というお尋ねをいただいております。この点、経営課題として再設定したマテリアリティである「社内外のWell-beingの向上」「森林経営モデルの実現による事業領域拡大」について、さらに魂を込めていくことが重要と考えます。
黒田社長からは、マテリアリティの取り組みを社内文化として全社に浸透させてほしいと指示されており、ステークホルダーの皆様のご要望である、いかに競争力へと変えていくかを含めて、2023年度における重要なテーマと認識しています。これからの時代、世の中になくてはならない存在としてのコクヨであるために、企業価値の向上を目指すことが欠かせません。そして、社会価値の提供を通じて経済価値との両立を図りつつ、マテリアリティの進捗を通じて森林経営モデルの具現化に貢献してまいります。

サステナブル経営に対する社内の意識改革を促進

今後、サステナブル経営を着実に推進していくため、社内にサステナブル経営会議を設けて、私が議長となり、年4回程度、執行役員が集まって議論を行っているところです。従来の営業会議などであれば、売上や利益という明確な指標があるのに対して、サステナビリティの課題については必ずしも明確な指標が決まっているわけではなく、まずは役員としてサステナビリティの目標をコミットしようと進めているところです。この中では、役員一人ひとりが事業を通じてサステナビリティにどう関わっていくのかを考え出しており、コクヨとして大きな意識改革に向けて動き出しました。
率直なところ、サステナブル経営について、役員レベルでは意識が高まっている一方で、実務の現場においては財務と非財務の折り合いをいかにつけるかで苦労している面があると考えています。しかし、これこそがサステナブル経営を実現していく上で重要なところだと認識しております。現時点で産みの苦しみはあるものの、これからの時代におけるコクヨの企業価値とは何かという観点から議論を重ねることで、サステナブル経営の道筋をつけていきます。
冒頭に申しましたマテリアリティについては、コクヨの独自性を打ち出しました。その上で機関投資家の方々などとのエンゲージメントを進めている段階です。実際、マテリアリティに対する評価として、コクヨの企業文化などを含めてご理解いただいた方がいらっしゃる一方、理解するのが難しいとのご意見を示された方もいらっしゃいます。この点、評価は大きく分かれているのが現状です。非財務の取り組みがどのようにして企業価値の向上につながっていくのかについて今後分かりやすいメッセージの発信等を通じてさらなるエンゲージメント向上に努めていきます。

気候危機への対応をはじめとした取り組みを加速

コクヨでは、「社内外のWell-beingの向上」「森林経営モデルの実現による事業領域拡大」に続くマテリアリティとしては、「WORK&LIFEの基盤である地球を守るための活動」を挙げています。この中では、「気候危機への対応」「循環型社会への貢献」「自然共生社会への貢献」という3つの重点課題があります。なかでも、コクヨは気候変動への対処を重要な経営課題の一つと認識しており、サステナブル経営会議において、気候変動に関する課題の特定、経営判断、業務執行を行う体制を構築しています。これにより、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明するとともに、リスク管理と指標、目標に向けた取り組みを進めています。
かつての日本では公害が深刻な問題であり、その対策が企業にとっての重要な責務でありました。TCFDに関しては、取り組みが始まったばかりで、その必要性が必ずしも社内で浸透しているとは言いがたいものがあります。しかし、かつての公害対策と同様に、気候変動への対処もまた企業の社会的責任として当然注力すべき課題になっていきます。こうした点を踏まえて、コクヨとしての社会への影響度を開示していく必要があると考えます。
現業においては、製造量を増やせば増やすほどCO2が排出されることから、排出量の削減と財務とのバランスを図っていくことは簡単ではありません。燃料費の問題をはじめ、設備更新の問題など、さまざまな課題はあるものの、まずは社内の意識から変えていくことで、取り組みを加速させていきます。
さらには、重点課題の5つ目にあたる「自然共生社会への貢献」に関して、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)においても、TCFDと同様の取り組みが必要と考えます。今後、TNFDへ対応していくことも視野に入れて、現状でコクヨが自然環境に与えている負荷の把握とデータの整備、そして社内的インパクトの創出へ向けての計画立案を進めていきます。

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