生物多様性への配慮・環境コミュニケーションの推進
地球環境とともに 生物多様性への配慮・環境コミュニケーションの推進
生物多様性に配慮した事業活動を行うことにより、生態系に及ぼす影響の低減とその保全に努めます。高知県の四万十川流域の森林保全活動や、滋賀県の琵琶湖環境の保全活動を積極的に推進しています。
コクヨグループ木材調達基本方針
コクヨグループは、2011年に「木材調達基本方針」を制定し、持続可能な森林資源を原料とすることを明確にしました。コクヨグループは創業時より紙をはじめとした森林由来資源を活用して事業を展開・発展してきました。我々は、地球温暖化の抑制や生物多様性など森林の果たしてきた役割を認識し、資材の調達に関して合法性・透明性・持続可能性に配慮しながら、今後も森林資源との調和ある発展を目指します。
コクヨグループ木材調達基本方針
当社グループは、以下の方針に基づく森林由来資源の調達を推進するとともに、その継続的改善に努めます。
- 木材貿易における違法伐採・違法取引問題を認識した、より透明性の高い資材の調達
- 森林資源の持続的利用のための、より適切なサプライチェーンからの資材の調達
- 地域における森林の社会的な価値・役割の認識に基づく、その維持・保全に配慮した資材の調達
「木材合法性証明デューデリジェンスシステムマニュアル(家具版)」の運用結果
2019年に策定しました「木材合法性証明デューデリジェンスシステムマニュアル(家具版)」に基づく年次調査(2021年)の結果、調査対象木材につきまして全て合法性が確認されております。
今後も本マニュアルの有効性をより高めていくとともに、厳格な確認を実施していきます。
尚、本マニュアル(Ver1.2)はホームページにて公開しています。
木材合法性証明デューデリジェンスシステムマニュアル(家具版Ver.1.2)
「合法性・持続可能性に係る事業者認定」を取得
グリーン購入法改訂に伴うJOIFA(日本オフィス家具協会)の「合法性・持続可能性に係る事業者認定」を取得しています。この実施規定に基づき、帳票管理や責任者選任、使用実績報告など合法性・持続可能性が証明された木材、木材製品の使用・販売推進に努めています。
森林認証商品
コクヨは2003年よりFSC®・COC認証を取得しています。FSC(Forest Stewardship Council®森林管理協議会)とは、国際的な森林認証制度を行う第三者機関の一つで、森林環境を適切に保全し、地域の社会的な利益にかない、経済的にも継続可能な森林管理を推進することを目的としています。また、COC認証とは、Chain-of-Custodyの略で、加工・流通過程の管理の認証です。コクヨグループではコクヨ・カウネット・コクヨ工業滋賀がFSC®・COC認証を取得し、コピー用紙・ノートなどのFSC®認証製品を販売しています。2016年にはPEFC・COC認証も取得しました。PEFC(Programme for the Endorsement of Forest Certification Schemes)とは、各国・地域で作成された森林認証基準を相互承認する団体です。
コクヨグループでは持続可能な森林資源利用のため認証商品の拡大に努めていきます。(FSC® C004748)
木材利用状況
2021年のファニチャー製品に利用する木質材料は約7,100トンでした。これは全原材料(梱包材除く)の14%に相当します。この木質材料の内、21%が無垢材や合板など「原木を材料とする木質材料」で、79%が間伐材、廃木材、未利用材及びその二次加工品である木質ボード(MDFやパーティクルボード)など「原木を材料としない木質材料」となっています。これらの情報はJOIFA(日本オフィス家具協会)へグリーン購入法の合法木材事業者認定の年別取扱実績として毎年報告しています。また、JOIFA木質表記ガイドラインに沿って 「原木を材料とする木質材料」の樹種を把握するよう努めています。
木材利用実績調査
コクヨではファニチャー製品に利用する木質材料の樹種、取扱量、原産国・地域を毎年、調査しています。
ただ、市販部品等に関しては、原産国の特定は困難を極めておりますが、持続可能な資源利用のため、引き続き把握に努めていきます。
樹種名 | 材形状 | 取扱量(m³換算) | 原産国、地域等 |
---|---|---|---|
アッシュ | 単剤、突板 | 7 | アメリカ、イタリア |
アユース | 突板 | 1 | イタリア、カメルーン |
オーク | 突板 | 6 | マレーシア、アメリカ、イタリア |
ホワイトオーク | 平板 | 10 | カナダ、アメリカ |
カプール | 合板 | 25 | マレーシア、インドネシア |
スギ | 集成材 | 3 | 日本 |
ナラ | - | 1 | ロシア |
ビーチ | 無垢材、合板 | 155 | ドイツ、クロアチア、フランス |
ポプラ | - | 97 | アメリカ、カナダ |
ラワン | 合板 | 372 | インドネシア、マレーシア、中国、フィリピン |
ラバーウッド | 集成材、無垢材 | 44 | ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア |
ニアトー | - | 1 | マレーシア |
ラジアタパイン | 集成材 | 3 | ニュージーランド |
パイン | - | 34 | ニュージーランド |
カバ | - | 2 | ロシア |
ファルカータ | 合板 | 389 | インドネシア |
ヒノキ | 集成材 | 2 | 日本 |
ブナ | 合板 | 2 | ドイツ |
ユーカリ | 合板 | 50 | 中国 |
合計 | 1,203 |
サプライヤーから伝達された情報を集計。MDFなど原木を材料としない木質材料は除く。
原産国・地域などが特定されている樹種のみ開示しています。
結の森プロジェクト
2006年、コクヨは高知県四万十町大正地区の民有林を「結の森」と名付け、「人工林の再生」と「自然環境と地域社会の再生」をテーマに、間伐材の有効活用を中心とした森林保全を開始し、2007年よりFSC®(Forest Stewardship Council®森林管理協議会)の森林認証を取得しています。結の森は現在、対象面積は5,425ha、累計間伐面積が1,989haまで拡大しています。また、2007年より、高知県から「CO2吸収証書」が交付されており、2020年度単年では5,368t-CO2、累計では67,390t-CO2になりました。(期間:2006年4月~2021年3月)
2022年1月に「日本自然保護大賞2022 保護実践部門 大賞」、2020年10月に「持続可能な社会づくり活動表彰【機構会長賞】」、12月に「第 18 回 企業フィランソロピー大賞【森林の守り人賞】」を受賞しました。 2017年には「ウッドデザイン賞2017」、2018年には「生物多様性アクション大賞 特別賞 グリーンウェイブ賞」、2019年には「低炭素杯2019 優秀賞」、「第7回環境省グッドライフアワード 環境大臣賞 企業部門」を受賞しており、8回目の受賞となりました。
※関連情報: 外部からの表彰・評価高知県から「CO2吸収証書」が授与されました
2021年7月16日、高知県庁にて、高知県 林業振興・環境部 豊永副部長よりコクヨ分:4,848t-CO2、カウネット分:520t-CO2 計5,368t-CO2分の「CO2吸収証書」が授与されました。豊永副部長より「長年にわたり、環境保全・森林整備・産業振興・高知県のPRなど、さまざまな面で大変貢献していただいている」と感謝の言葉をいただきました。
尚、5,368t-CO2は、コクヨグループの2021年のCO2排出量 35,926t-CO2の約15%に相当する量となります。森林保全のみならず地球温暖化防止の観点でも重要な取り組みとなっています。
FSC®認証を取得しています
結の森は2007年よりFSC(Forest Stewardship Council®森林管理協議会)の森林管理認証を取得しています。
2021年9月28日~30日に定期審査が実施され、引き続きFSC®認証を継続しています。
間伐の効果を定期的に監視しています
森林保全活動を行う上で必要不可欠なのは、間伐効果を「見える化」することです。活動の効果を長期的に監視していくため、四万十町森林組合、四万十高校、高知県・四万十町の職員の皆さんと共同で、モニタリング調査を実施しています。2021年は7月17日に四万十川清流基準調査を、11月20日に植生調査を実施しました。植生調査では、特定の2地点において調査を継続しています。
※関連情報: 「四万十高校生によるレポート」間伐材の有効活用
間伐材の有効活用のために、コクヨでは2000年より地元の四万十町森林組合と協働で間伐材家具を製造・販売してきましたが、通販会社のカウネットも2007年から「結の森」ブランドの商品として文具を中心に販売を開始し、2021年現在で12品番になっています。カウネットでは活動への理解と賛同者を増やすため、お客様のポイントを結の森の間伐に寄付する仕組みを2008年から実施しており、本年も約140件のお申し込みがありました。加えて、2011年2月より「結の森1%寄付プロジェクト」をスタートさせ、現在も継続しています。これは「結の森」商品の売上の一部を公益社団法人国土緑化推進機構の「緑の募金」に寄付するというものです。
琵琶湖のヨシ原を知る ~ ReEDENプロジェクト ~
琵琶湖の水環境、生態系、そして二酸化炭素の回収に重要な役目を果たしているヨシ(葦)原。「ヨシ葺き屋根」「すだれ」等の伝統産業の衰退により、手入れが行き届かなくなったことで、かつて260haあったヨシ原は半減してしまいました。滋賀県では、1992年にヨシ群落保全条例を定め、「守る」 「育てる」 「活用する」 の3本柱で保全に努めています。これらの条例を実践することで豊かな琵琶湖環境を守り、気候変動の軽減にも貢献できると考えたコクヨ工業滋賀は2007年、ヨシを通した「活動」と「活用」の両輪で、琵琶湖環境の保全・維持に貢献する事業をスタートさせました。
琵琶湖のヨシ原を守る ~ ヨシでびわ湖を守るネットワーク ~
ヨシを育てるには、冬の刈り取り作業が最も重要です。2009年、ボランティア活動組織「ヨシでびわ湖を守るネットワーク」を設立するにあたり、単なる一企業の活動に留まらない組織を作るため、県内事業所を歩き、琵琶湖をキーに「地域共通の環境課題に一緒に関わっていく」ことを訴え、多様な主体がつながる共同体を目指しました。当初、数社の賛同を得てスタートしたこの組織は、徐々に賛同の輪が広がり始め、現在132社が参加する規模となり、産学官民が協働するヨシ刈り活動(年3回/12月~3月実施)を、これまで10年以上に渡り実施しています。近年では、多数の事業体とその家族に加え、地元住民、行政、県立博物館、学校も参加する規模となり、約300名が参加する県内最大級のヨシ刈り活動に成長しました。しかし、昨年よりコロナ感染症の影響を受け、ネットワークでの開催を自粛し、規模を縮小した当社単独での保全活動を継続させています。
ヨシ原保全を通した低炭素社会づくりへの挑戦 ~ 保全活動の成果を見える化する ~
これまで保全による成果は、県が唯一公表する面積でしか評価されておらず、他の科学的評価が期待されていました。一方、間伐等の森林保全は、炭素吸収・固定量を指標として全国的に推進されています。私達は、ヨシ材においても炭素を植物内に回収する効果があり、森林と同様に炭素回収量として評価できると考え、2017年より研究者と共に冬のヨシ原のバイオマス調査に取り組み、ヨシの「高さ」 「密度」 「重さ」 「太さ」 「炭素量」を3年間に渡り測定し、蓄積したデータからヨシの炭素回収量を数値で示す手法を構築しました。
これにより保全面積でしか評価できなかったヨシ刈り活動の効果が、全く新しい角度から数値評価が可能となったのです。この取り組みは、学識者で構成する滋賀県ヨシ群落保全審議会で高い評価をいただき、2019年末には、産学官で「刈り取り面積」×「ヨシ高さによる換算値」でCO2回収量を算出するツールを開発し、「ヨシ刈り活動によるCO2回収量の算定ツール」として、滋賀県ホームページで公開されています。これにより活動の低炭素社会づくりへの貢献が可視化され、琵琶湖の水の浄化や生物多様性の効果に加え、CO2を回収する気候変動の軽減と緩和にも貢献していることを証明することができるようになり、活動のモチベーションアップと広がりにつながる大きなプラス要因となりました。
今後、このツールを広めることで地域全体の活性化を図り、すでに全国で行われている森林カーボン回収制度に続き、他に類のない水辺バージョンのカーボン回収量認定制度の構築を目指しています。
昨年の「気候変動アクション環境大臣表彰」に続き2021年12月には、“第9回グッドライフアワード 実行委員会特別賞「ひとづくり賞」”を環境省から2年連続で受賞しました。
これまで、「水質浄化」 「生物多様性」 「青少年の育成」、そして「気候変動の緩和」と評価を受けたこの活動は、今回 “ 環境と社会に良い暮らし ”の実現に優れた活動として表彰を受けることができました。
持続可能な社会づくりに貢献する一地域の小さな活動ですが、これからも地道に継続することを大切にしていきます。
外部からの表彰・評価
表彰
ReEDENプロジェクトの活動が第9回環境省グッドライフアワード実行委員会特別賞「ひとづくり賞」を受賞
「グッドライフアワード」とは、持続可能な社会の実現のため、一人一人が現在のライフスタイルを見つめ直すきっかけを作り、ライフスタイルイノベーションの創出やパートナーシップの強化を目指し、"環境と社会によい暮らし"やこれを支える地道な取組(ボランティア活動、サービス・技術など)を募集・応援する事業であり、2013年に創設され、今回で9回目となります。
当年は192件の応募があった中から、実行委員会での審査の結果、実行委員会特別賞のうち「ひとづくり賞」が贈られました。