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ショコラティエ・川路さとみさんの挑戦

新しいページをひらく人たち(1)
2019/11/30
大きな変化が期待される2020年。この東京で、日本で、この世界に驚きと変化をもたらしてくれる人たちにインタビューします。新しい変化を起こす人たち、挑戦する人たちの話は、私たちの日常にもちょっとした勇気を与えてくれるに違いありません。今回は、ショコラティエの川路さとみさんにお話を伺いました。

川路さんは日本菓子専門学校を卒業後、東京ディズニーシーホテルミラコスタでパティシエとして勤務。その後、独りフランスへと渡ってショコラティエとして修業され、その後2017年に独立。「ショコラティエ川路」(東京都墨田区)をオープンされて、いまではショコラの販売とチョコレートづくりの教室を経営されています。

実際にお会いしてお話しを伺うと、チョコレート職人の話ではありますが、楽しく生活していくコツや、これから求められる共生社会で生きていくヒントを頂けました。

01

男性社会のパティシエ職人。
そこでショコラティエを目指した意外なきっかけ

ショコラティエになったきっかけを教えていただけますでしょうか。

子どものころに作ったケーキを妹が「すごくおいしい!」と言ってくれたことがすごく嬉しくて、そのままお菓子の道に進みました。最初にホテルでパティシエとして勤めたのですが、すごい男社会でかなり厳しいところでした。そこである先輩に「お前はがさつだからチョコは向かない。」って言われたことがあって、すごく悔しい思いをして、逆にショコラティエになりたいと思いました。ただ、その先輩はチョコが一番上手な方で、ここにいたらその人以上にはなれないと思ったので、本場のフランスに渡ることを決めました。当時はチョコレートを教えてくれる人は、ほとんどいなかったのです。

海外から戻ってきたパティシエは何名かおられたのですが、チョコで修業をした人はいない。そこでやれば(男性シェフなどと)比べられることもないと思いました。また同時に、修業して戻った人が教えることができたら、(言葉のわからない)海外にわざわざ行かなくても学べるなと思ったことが、教室をするきっかけにもなりました。

ショコラの魅力ってなんでしょうか。

最初は教えてくれる人がいなかったので、うまくいってるのか、いってないのかもわからない中で模索していました。そのうち、くちどけの作り方、テンパリング(温度調整)の重要性がわかってきて面白くなりました。この1辺27mm×高さ15mmの中で全部を表現していくところに惹かれます。この中に世界が詰まっているって、ショコラティエは表現するんです。

一方、パティシエはかなりオールマイティ。スポンジもやるし、ムース、ビスケット、パイもやりますし。 ショコラティエは、1つのことに突き進んでいく感じです。あと、科学的で理系っぽいです。理科でならうような、油と水の関係とか 浸透圧や乳化とか。いわゆるリケジョですね(笑)

02

ルーティーンは真っ白な紙に、思いのままに書き連ねること

いろいろな苦難があったと思いますが、乗り越える秘訣のようなものはありますか。

職人でずっとやってきたのですが、それ以外の経営の勉強をしておいたことで、とても助かりました。それまで、美味しいもの、よいものを作れば勝手に売れると思ってましたから。集客なんて言葉も知りませんでしたし。(笑)

あと、宣言することですね。そうすることで、面白いって言ってくれる人がでてきたり、助言をしてくれたり、応援してくれる人が集まってきます。フランスは嫉妬の国って感じで、アメリカは「あいつはそれだけのことをやった!ブラボー」みたいなイメージあるじゃないですか。墨田の気質は、すごいアメリカっぽいんです。(笑)

川路さんのチョコレートは、墨田区が選定する『すみだという地域をイメージでき、その魅力を高めることのできる商品』である「すみだモダン」商品にも選ばれている。

仕事で使っている文具などはありますか。

学生の時には、A4のキャンパスノートを使ってました。ここにはレシピが書いてあって、いまでも読み返したりするので、大事な道具の1つです。 

いまは、毎月カレンダーをめくった裏紙に、その時に思ったこと、考えていることなどを書くということを必ずやっています。真っ白な線がない紙に書いていくんです。何か決まったことを書いている訳ではないのですが、頭に浮かんだことを書き連ねていってます。チョコのアイデアもあったり、仕事に全く関係ない絵を描くこともあります。これは欠かせないルーティーンになってますね。

日本の食材、模様をあしらった「和ショコラ」はひらめきを書き留めたメモから生まれる。

03

生徒さんと世界一になる夢

今後取り組まれるチャレンジがあれば教えてください。

パリで開催されているサロン・デュ・ショコラで、生徒さんと一緒に世界一になりたいと思ってます。漫画の『ルーキーズ』のように、弱いチームが甲子園に行くとか、ダメ出された人たちが頑張って成功するみたいなのが好きなんです。そんな感じで、一般の人が世界一になるっていうのを目指したいです。自分もそうだったので、そういう人の応援をしていきたいと思っています。

これから何か挑戦しようとする人へのメッセージをお願いできますか。

私自身が、そんなに挑戦しなくてもよいと思ってる方なので難しいですが。(笑) 好きなことすれば続いていくんじゃないかと思います。

渡仏してショコラティエの道に進んだものの、前線で働く女性がすぐやめていくのを目の当たりにもしていました。そんな時期に、フランスのシェフが、「チョコレートは女性にすごく向いてるよ。君たちよく泣くだろ?だからいいんだ。そういう感情がクリエイティブにつながる。」って言われて、はまっていくきっかけになって、どんどん好きになっていきました。私の場合は尊敬するシェフの言葉でしたが、いろんなきっかけがあると思いますので、見つけられた好きなことをずっと突き進んでください。

やはり好きなことが一番ということですね。本日はありがとうございました。

教室で生徒さんに囲まれる川路さん。

「嫌いなこと、苦手なことはしないんです。」と、自然体でありながら、逆に好きなことを徹底的に突き進んでいく川路さん。驚くことに、ご自身が10年以上かけて学んだことを、惜しげもなく教室で教えておられます。生徒さんの数はすでに1000人を超えるとか。合理的に技を教えていくことで、古い体質が残る職人の世界から飛び出し、新しいページをひらかれています。

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