~ガバナンス~ リスクマネジメント

基本的な考え方

第3次中期経営計画「Field Expansion 2024」の達成に向け、既存事業のブラッシュアップと新たな事業領域への拡張を進めるにあたり、その達成を阻害するリスクを事前に察知し能動的に打ち手を講じていく必要があります。そのために自らのリスクへの感度を高めるとともに経営と現場が一体となったリスクマネジメント活動を進めてまいります。

リスクマネジメント体制

グループ経営を取り巻く様々なリスクを網羅的に把握・評価し、経営への影響を適切にコントロール(回避・低減・移転・受容)するリスクマネジメントを推進するため、代表執行役社長の諮問機関としてリスク委員会を設置し、リスクマネジメントに関わるテーマについて全社的な立場から審議し、代表執行役社長に答申するとともに重要性や緊急性の高いリスクが認められた場合には、取締役会及び監査委員会に報告することとしています。
適切なリスクとリターンのバランスの下、コクヨグループ全体のリスクを経営戦略と一体で統合的に管理し、ガバナンスや内部統制と一体的に整備及び運用することを図っており、平時においてはリスク委員会を四半期ごとに開催し、グループ内で発生したリスク事象を一元管理する仕組みを構築するとともに、PDCAサイクルを継続的に運用し、再発防止策の確認や重要なリスクへの対応計画のモニタリングを行っています。また、代表執行役社長は、当社の取締役会に対し、当該リスクの管理状況を報告することとしています。
情報セキュリティリスクと労務リスクについては、リスク委員会内に分科会を設置し定期的にモニタリングを行っています。
情報セキュリティリスクについては、海外を含めたソフトウェアやOS、ネットワーク機器等の脆弱性の評価を実施、労務リスクについては、従業員サーベイの結果などを踏まえたグループ各社の労務課題の把握を行っています。このような取り組みを通じそれぞれに対する対策を進めることで、グループ全体のリスクマネジメントの有効性と効率性を高めることを目指します。

コクヨにおける事業等のリスク

コクヨグループの経営におけるリスクを、外部環境に関するリスク、事業運営に関するリスクの観点から特定し、対応策を、次の通り講じています。事業領域の拡張や新規ニーズの事業化により事業領域も変化していくことから、事業に応じたリスクを認識できるよう注視し、適切な対応をしてまいります。

コクヨにおける事業等のリスクと対応策

事業等のリスク 認識するリスク 対応策
外部環境に関するリスク 経済状況
  • 日本国内の景気変動に伴う企業収益や設備投資等の動向影響
  • 中国等主要な海外市場の景気の先行き不透明感
  • 「モノからコト」への事業モデル変革
  • 海外展開のさらなる促進とそれに伴う各現地法人との連携強化
市場環境
  • 市場分散化やデジタル化の潮流による当社グループの優位性の低下
  • 物流・建設業界の人手不足による当社サービスの品質低下
  • 事業ポートフォリオ経営による最適な経営資源配分
  • 物流・建設現場の負荷軽減と事業の維持・成長の両立を目指す
有価証券の時価変動
  • 金融市場等の変動による投資有価証券の時価悪化
  • 定期検証、保有意義の確認と売却又は縮減の検討
自然災害・感染症等
  • 大規模な災害等発生による国内外事業活動の一部停止や縮小等
  • BCP(事業継続計画)の策定と継続的な⾒直しによる実効性の担保
事業運営に関するリスク 法規制の遵守
  • 品質や環境、労務等各種法規制等への違反の発見や認定
  • 「コクヨグループ行動基準」の制定と継続的啓発活動の実施
  • 法規制の改廃制定などに対して、その対応及び遵守状況の定期的な確認
品質保証
  • 製品にかかるリコール発生による業績・社会的評価への悪影響
  • ISO9001に基づいた品質マネジメントシステムの構築と運用
購買調達
  • 原材料価格高騰や為替変動等による業績影響
  • ESG対応不備による業績・社会的評価への悪影響
  • 為替予約や、現地調達比率適正化・調達先複線化の実施
  • 取引先との相互発展に向けた「サステナブル調達方針」の制定人材及び労務
人材及び労務
  • 人材獲得や育成の停滞による将来成長阻害
  • 労働災害や健康被害等の発生による業績・社会的評価への悪影響
  • 「人材マネジメントポリシー」の策定と人材育成機関「コクヨアカデミア」の設置等による人材育成への投資を加速
  • 「労務分科会」を設置し、従業員の健康への配慮とキャリア形成のための可処分時間の捻出に向けた施策を推進
情報セキュリティ
  • サイバー攻撃等によるシステム障害や事業上の機密情報、顧客・個人情報の流出等の被害による業績影響
  • 脆弱性診断の実施によるセキュリティ強化と、情報セキュリティ分科会による定期的なモニタリング
  • システム障害の検知・防御強化や定期的なバックアップの実施
  • 顧客・個人情報の取り扱いに関するルールの整備と従業員等に対する情報セキュリティ意識の啓発
企業に対する出資等
  • 事業環境等の変化による対象会社の業績への影響
  • 外部知見取入れによる投資案件審査やモニタリングプロセスの運用・継続的改善

コンプライアンスの推進

コクヨグループ行動基準

コクヨグループは、事業活動を行っていくうえで、商品の品質、公正な取引を含む取引関連、環境、労務、安全衛生、会計基準や税務、贈収賄、情報管理など様々な法規制の適用を受けています。法規制を遵守し、社会倫理に従って企業活動を行うために、社員一人ひとりが遵守すべき「コクヨグループ行動基準」を制定しています。この「コクヨグループ行動基準」を日々の活動の拠り所としてグローバルに活用してまいります。また、公的機関の職員や政府関係者に対する贈賄行為を明示的に禁止する等、コンプライアンスの確保を図っています。

ホットライン

コンプライアンスや企業倫理に関する問題で、職場内では相談・解決し難いものについて相談できる窓口として「コクヨグループホットライン」を設置しています。日本国内においては新たに外部の専門会社に受付窓口を委託することで通報者保護を高めるとともに、海外においては海外拠点のコクヨグループ社員も利用できる受付窓口を設置し、運用を行っています。コクヨグループでは、ある程度の通報件数があることが適正と考えています。なお、2023年度における通報件数は20件です。
2024年6月からは、取引先の皆様と健全な関係を構築し、相互発展を目指すために「コクヨグループホットライン」を取引先の皆様にもご利用いただけるようにしました。
コクヨグループホットライン(取引先向け)

BCP

コクヨグループでは、自然災害などにより工場やオフィスの機能に被害が生じた場合を想定し、安定的に商品供給を実現するためのBCP(事業継続計画)を策定し、継続的な見直しを行っています。また、地震、風⽔害、⽕災、大規模停電、感染症等の甚大な災害が発生した際には、初動対応を適切に実施して被害を最⼩化することが事業継続において重要となることを再認識しています。また、社員⼀⼈ひとりが命を守る⾏動が取れるよう、防災マニュアルの整備や訓練の実施など事前対策を進めています。
また、ESG/SDGsへの対応に鑑み、災害発生時の非常用電源は、太陽光発電や蓄電池の設置等により電源確保を進めています。

知的財産権の管理に関する取り組み

競合他社との差別化を図るための戦略の一つとして、知的財産権の取得を推奨し、同時に他社の知的財産権を尊重すべく、下記の取り組みを行っています。

  1. 知的財産権管理・運用体制

    国内及び国外子会社の知的財産にかかる業務を法務部知的財産ユニットにおいて管理し知的財産権活用及び戦略の標準化及び一元化を目指しています。
    同ユニットにおいて、発明・デザイン・商標の権利化業務、他社の知的財産権の侵害を防ぐべく徹底した事前調査の遂行、当社が保有する知的財産権保護のための日常的な他社製品のモニタリングに加え、他社と争いが生じた場合には、マネジメントとの連携のもと、迅速かつ最適な解決を目指し対応しています。

  2. 知的財産権の保護及び法令遵守

    「コクヨグループ行動基準」において、他社の知的財産権を尊重することを規定するとともに、知的財産ユニットにおいて、他社の権利の侵害を予防・回避すべく、他社の権利の調査・分析・精査を行う体制を確立・運営しています。また、開発部門に対し、随時研修や日常の業務を通じて、他社の知的財産権尊重及び法令遵守意識向上のための啓発活動を行っています。

  3. 知的財産権の創造・活用の推進

    知的財産ユニットと開発部門は、開発の初期段階から密接な連携を図ることにより、市場での当社製品の優位性の向上を目指すべく、競合他社製品との差別化に貢献する発明の創造と発掘に邁進しています。また、特許法第35条の趣旨に応ずるべく、職務発明報奨制度を社内規定として定め、顧客満足度の向上と当社の発展に資する発明を奨励しています。

情報セキュリティに関する取り組み

情報セキュリティ管理体制を構築し、関連する法令等の遵守および事業を進める上で保有する機密情報(顧客情報、個人情報等)の安全管理に取り組んでいます。

  1. 情報セキュリティに関する法令・その他の規範を遵守します。
  2. 個人情報については、コクヨグループの定めている「個人情報保護方針」に準じて管理します。
  3. 情報資産に対する不正アクセス・情報資産の紛失・改ざん・漏洩などを防止するため、適切な安全対策を講じます。
  4. 情報資産の管理・利用に関する規定・ルールの策定と見直し、およびそれらに関する社員への教育を継続的に実施します。
  5. 情報セキュリティに関する管理体制および取り組みについて継続的な点検と改善を実施します。
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