朝の達人

 

オフィスを独り占め(2)勉強する

誰もいない朝のオフィスは、資格の勉強などにも最適。記憶脳が年とともに衰えるという問題への解決法は「毎日復習」しかありません。記憶とは目や耳からの情報が「短期記憶」に入り、リハーサルバッファと呼ばれる復習サイクルを経て「長期記憶」に移動するプロセス。目からの情報は、15秒後には95%が失われます。それだけ人の脳は情報を選ぶ力があるということ。特に目から入る情報は膨大で、全部残していたのでは訳が分からなくなるでしょう。

「ゲーム脳」として話題になりましたが、人は目や耳から膨大な情報を浴び続けると、必要なものを選ぶ情報処理をサボるようになり、来た情報に反応を返すだけになります。この状態を避け、順序良く整理して長期記憶に収め、自分の情報処理能力によって組み立てることによって理解する。これが「忘れないで覚えている」ということなのです。毎日リハーサルバッファを動かすには、朝が最適です。他の時間は人との接触や仕事、疲労に妨げられるので、続けることが難しいでしょう。

どんどん頭に入れてどんどん忘れなければなりません。それでもどんどん毎朝やって来る情報を、人は重視し、記憶するようになるのです。

情報はバラバラよりも構造化すると覚えやすくなります。昔の記憶法に、「線型機銃、小さいけれども良し」というのがありました。徳川15代将軍を、家康、秀忠、家光、家綱、綱吉までは常識として、6代目以降の家宣、家継、吉宗、家重、家治、家斉、家慶、家定、家茂、慶喜の「宣継吉重、治斉慶定茂慶」と1字ずつ文章にコジつけたものです。まずこれを覚えてから、それぞれの時代を押さえていけば、江戸時代が構造化されます。家治時代と、家斉時代の出来事の順番を間違う心配がありません。

朝の勉強は、情報の構造化 → 全体像の把握 → 細部の把握 という順に進めてください。受験生時代の、何でもアンダーラインを引きながら参考書をにらむような、「いきなりどっぷり細部」型、つまり一夜漬け丸暗記式は、脳の衰えた大人にはお勧めできません。知らない場所への往路は、復路よりずっと長く感じるもの。それは情報が構造化されず、全体像が把握できていないからです。

良い教本の目次をまず読み、自分で解説を加えた目次を作る。これで情報を構造化でき、全体像が把握できます。仮にそのオリジナル目次がエクセル200行になったら、きっと「なんだ、たったこれだけか」と思えるようになるでしょう。そこから細部の把握に入ります。

細部は、全体が20章あるなら、初日に1,2,3章、2日目に2,3,4章、3日目に3,4,5章と進みます。20日で全部3回ずつ学ぶことができ、毎日新しい情報(章)の刺激もあり、3回目の章はスラスラと頭に入り、2回目の章は読みやすくなります。この方法で教本を2ケ月で2冊こなしてから過去問に取り組めば、資格試験も全く恐くはないでしょう。

朝は、半年後の自分を必ず望む姿に変えてくれます。

オフィスを独り占め(3)指示を出す

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