「「Campus」ブランドに込めた想い コクヨS&T株式会社 上席執行取締役 井上 恭史

ノートだけでなく、家具へも展開しているブランド「Campus」。"スマート&ポジティブ"をコンセプトに、学びをサポートするツールとして幅広い支持を受けています。さらに、去年に引き続きコクヨデザインアワードのテーマにもなっている「Campus」。そのブランドに込めた想いを、コクヨS&Tの井上が語ります。

「Campus」というブランドを考え直す

ノートにキャンパスという名前をつけてから、もう40年ぐらいになります。最初は、どんなブランド名をつければいいか悩みました。そしてキャンパス、とっても自然な名前でしょ。当時、学生が使うノートは大学ノートと呼ばれていて、それをモダンにしようと思ってキャンパスというブランド名にしたという経緯があります。

キャンパスノートは年間に一億冊以上売れています。認知度も高く、多くの学生さんに使っていただいています。人気の理由は品質が良くてリーズナブルだからだと思っています。価格と得られるもののバランスがとれている。そういった魅力がキャンパスノートにはあるのではないでしょうか。

25年ほど前に、ブランドとして認知度が高いキャンパスをもっと活用しようとしました。ノート以外にも、筆記具やステープラー、ハサミなどにもキャンパスブランドをつけた。その当時は大型スーパーが躍進していた頃です。キレイな売り場にキャンパスブランドがズラ〜ッと並ぶ。でもこの戦略は、うまくいきませんでした。ただブランド名を載せただけでは、ものは売れなかったのです。

一昨年、もう一度、キャンパスというブランドを考え直そうということになりました。ノートにとらわれることなく、もっと根本的に、キャンパスとは、あるいはキャンパスが担う役割について問い直しました。そこで導き出されたキーワードが「キャンパス=学びをサポートするツール」。使うことで、学習意欲が上がり、学習効果が上がる。それこそがキャンパスだということになったのです。

使う人の意欲を上げる、効率を上げる

「キャンパス=学びをサポートするツール」を実践するために、大切にしたのは個客をしっかり見つめることでした。ユーザーベネフィットをしっかりと発揮させる。そのためにも、どう使われているかを正確に把握する必要がありました。そのいい例をひとつ、ご紹介しましょう。

キャンパスノート(プリント貼付用)

キャンパスノートに「プリントが貼れるノート」というのがあります。このノートは子供たちが勉強している場から生まれました。そもそも、よく使われているB5サイズのノートはセミB5サイズと言われていて、実際のB5サイズより少し小さい。小学生が先生からもらったB5サイズのプリントを貼ろうとすると、ノートからはみ出してしまう。で、小学生は困っていた。じゃぁ、ノートを大きくしましょう、と。これがソリューションです。そうして生まれたのが「プリントが貼れるノート」。しかし、次なる問題が待っていました。

テープのりのメインユーザーはオフィスで働く人たち。用途の大半が封筒のフラップ留めです。なので、接着の初期から粘着力が強くでなくてはいけません。一方、子供がノートにプリントを貼るとき、一発で思うところに貼ることがなかなかできません。ゆがんで貼ってしまう、でもいきなり粘着が強力なので貼り直せない。またまた小学生は困ってしまってたんですね。

テープのり<キャンパス ドットライナーフィッツ>

のりは樹脂からつくられます。この樹脂のつくり方を工夫すると、初期接着は低く、時間が経つと粘着力が高まる。そのことをコクヨの技術者が見つけました。それを応用すると、いわゆる仮止めのようなことができて、子供たちが使うのに便利じゃないか、と。そうして生まれたのが「ドットライナーフィッツ」です。

この「ドットライナーフィッツ」と、この商品が生まれるまでのストーリーは、まさにキャンパスのコンセプトである「スマート&ポジティブ」。だから「ドットライナーフィッツ」には、Campusのロゴがついています。学ぶという行為をサポートして、使う人の意欲を上げる、効率を上げる。それがキャンパスというブランドなのです。

デザインで解決されている作品を

デザインで解決されている作品を今年のコクヨデザインアワードのテーマは Campus 「ノートを超えろ」です。実際に学びの場にいる人を見つめて、困りごとやムダがないかを探す。そこで見つかったものを、デザインする。そういう考え方で応募してきてほしいと思っています。 あと、デザインアワードはアイデアコンテストとは違います。なので、この手帳にこんな機能をつけました、ではダメ。しっかりと、デザイン的な解決が されていることが大切です。ちょっと抽象的で難しいですけど。

ノートを超えた先にもいろいろなものがあり、大きな可能性があります。そこのところを自由に発想した、キャンパスらしいデザインを待っています。

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「Campus」ブランドに込めた想い 井上 恭史 「Campus」の思想を広げたい 藤木 武史
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