
製品開発ストーリー
文具の研究開発 針なしステープラー
「開発」という行為は、ただ新しいものを世に生み出すことを指すとは限りません。大昔からすでにこの世に存在していたものを、新たな発想と技術力によって大きく進化させる。それもまた、大いなる開発力と言えるでしょう。その典型的な例が、この商品なのです。
4枚から10枚への進化
針を使わず、紙で紙を綴じる。この発想と製品自体は、実は遥か昔から存在しました。ただし、この昔ながらのステープラー、綴じることが出来るのはせいぜい紙4枚まで。それ以上の枚数では使用することは出来ませんでした。
コクヨS&Tの開発チームは「これでは満足出来ないユーザーがたくさんいるだろう」と考えます。そこで実際にユーザーにヒアリングをしてみると、せめて10枚ぐらいは綴じたい、という声が上がって来ました。
挑戦の始まりです。コクヨは10枚綴じることの出来る、針なしステープラーの開発に取りかかりました。
直線からH字型への進化
10枚の紙を綴じるという課題をクリアするには、全く新しい刃先を開発する必要がありました。それこそ、「刃が命」ともいえる最も重要な部分です。ハンドルを押し下げたとき、差し込み口と差し込む紙片の部分を同時に作るためには、どういう形状の刃が最適なのか?これまでの直線刃から、どのように進化させればいいのか?
試行錯誤の末、生み出したのは「H字型」の刃でした。この刃で作った差込口は、紙片を引き上げる時に開くため抵抗が少なく、10枚という枚数を引き上げても破れることなく、軽い力で操作することを可能にしました。さらに、一連の動作が滑らかに動くよう、1枚の金属板を折り曲げて作られています。




1カ所から2カ所への進化
ユーザーヒアリングで寄せられたもう1つの要望、それは「保持力が弱すぎる、もっと強くしてほしい」というものでした。
これまでの製品では、綴じるのは紙のただ1カ所だけ。針を使うステープラーならこれでも充分ですが、紙自体で綴じる場合は、確かにこれでは弱すぎます。紙の隅を1カ所だけで綴じた場合、そこを支点にして綴じられた紙がグラグラとズレてしまうのです。
ならば、2カ所で綴じることにすればいい。1回の操作で2カ所を綴じられるステープラーを開発しよう。目指すべき製品の姿が、次第に固まってきました。
パンチ穴と共通化させる、というひらめき
このとき、開発陣がひらめきます。どうせ2カ所で綴じるなら、その箇所をファイルのパンチ穴と同じ位置にすればいい。そうすれば、綴じた後、そのままファイリング出来て便利ではないか。
何気ないようですが、これは大きな進化をもたらすひらめきでした。実際、これを思いついたとき、彼らは頭の中でピンポーンと音が聞こえ、震えるような興奮を味わったのでした。

すべて紙で完結させる、というエコ
こうして「針なしステープラー」は完成しました。いっさい針を使わないので、使い終わった資料やレポートを廃棄するとき、いちいち針を外す手間がかかりません。そのまま、シュレッダーに入れることが出来ます。
また、コクヨS&Tの商品ラインアップには留め具部分も含め、すべて紙で出来たファイリングフォルダーがあります。ですからこの「針なしステープラー」と一緒に使えば、いっさい金属を使わず、すべて紙だけでファイリング出来る究極のエコロジーが実現出来るのです。
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