
製品開発ストーリー
家具の研究開発 Avein [アヴェイン]
機械ではなく、エアを使って、椅子に有機的な制御をもたらす。この全く新しいアプローチから生まれた、Avein。そのプロジェクトの開始から製品完成までの道程で、コクヨはこんなにも多くの「開発力」を駆使したのでした。
エアで制御する、というアイデア
それまでの「メッシュの椅子」からさらに進化した新しい価値の椅子を作ろう。コクヨファニチャーとデザイナー・山中俊治氏のコラボによるAveinのプロジェクトは、 そこから始まりました。
そうだ、エアという流動体を使って何か出来ないか?そのアイデアから生まれたのが、エアを座面や背もたれのクッションとしてだけではなく、 姿勢の制御としても使う、すなわち、「エアクッション」にして「エアマッスル」である、という考え方。これこそがAveinの原点なのです。
機械ではなく、有機的な制御を。目指すのは、これまでにない全く新しい椅子でした。山中氏のデザイン案が、それを物語っています。コンセプトは植物をモチーフにした 「浸透(OSMO)」。エアという養分が葉脈を通って椅子全体に行き渡る、というイメージです。

チューブ&バルブ
いくつかの試作品の中から、「座るとエアが移動し、別の部分をサポートする」というアイデアに絞り込み、原理モデルを製作。
さらにイメージスケッチを元に、椅子としての検証が出来る機能モデルを作成しました。エアバッグの中のエアを移動させるために、座面や背もたれにはチューブが張り巡され、独特な姿をみせています。
しかし、コクヨの開発陣は、ただエアバッグをチューブで繋いだだけでは満足しません。チューブの途中に「流動調整バルブ」を設け、エアの移動する量を可変にし、ユーザーの好みに合わせたクッション性や、姿勢制御の調整を可能にしました。

デザインモデルと機能モデル、お互いのフィードバック
試作モデルはデザインを確認するための「デザインモデル」と、座り心地を検証するための「機能モデル」の2種類が作られます。もちろん、これはデザインと機能を高いレベルでドッキングさせるため。
また、その過程でデザインの別案、Aveinの場合ですと当初のシェルタイプに加えてフレームタイプも提案され、試作モデルとして作られました。デザインモデルはコンセプト通りのデザインを具現化するものですが、機能モデルは、設計のしやすさや構造上に問題がないかのチェックにも使われます。
そしてこの段階で、ユーザーヒアリングが行われました。高機能な椅子を好まれる方、長時間椅子に座りっぱなしで仕事をされる方、さらには腰痛に悩む方まで、様々な方にご意見を伺います。
その声に従ってデザインモデルが修正され、それが機能モデルに反映されたり、あるいは逆に機能モデルを修正し、デザインモデルに変更が加えられたり。このように、この2種類の試作モデルは、お互いにフィードバックし合っているのです。

徹底した生理的検証
出来上がった試作品に座ってみて、実際にエアはどういうふうに動き、どういう具合にカラダを支えてくれるのか?これを検証するためには科学的なリサーチが欠かせません。
そこでコクヨの開発陣は大学の人間工学を研究する先生に協力をあおぎ、体圧分布を測定しました。結果は上々、エアは体重移動に応じて最適に圧力を分散させることが立証されたのです。
ただし、問題点も見つかります。空気にはもともと断熱効果があり、しかも試作モデルのエアバッグはフィット感が高く、カラダと接触する面積も広かったため、熱が逃げずに使用者が暑く感じてしまうのです。
エアバッグの大きさ、形状ともに変更する必要がありました。でもこうした改善が出来たのも、生理的検証を徹底して行ったからこそ、なのです。

詳細な強度解析と金型製作
これでいよいよ、商品の金型製作に入るのですが、その前に詳細な強度解析を行う必要があります。例えば、背もたれのアルミシェルと肘置きのフレームとの接合部分や、肘置き自体にかかる垂直並びに水平方向の強度計算など、椅子の各部分を精査します。
また、流動調整バルブのグリップとリリースボタンの配置部分。Avein では誤動作を防ぐため、バルブを閉じた時にリリースボタンを押させないように配置するなど、さまざまな工夫が盛り込まれています。こうした検証の末、最終的な金型が決定、製作され、商品の生産が始まります。
そしてついに商品の発売です。美しさと高機能を併せ持つ Avein が世の中に生み出されるまでには、こんなにも長いプロセスがあったのでした。でも、そのプロセスのひとつひとつが、すべてコクヨの開発力そのものなのです。

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