結の森座談会

第九回 「若武者」たちの挑戦

未来の四万十を担う高校生たちに聞く

時の移ろいと人々の暮らしの変化の中で清流を維持することが難しくなってきた四万十川。それを未来に向けて守り育んでいくうえで、地域の若者たちの力がとても重要であることは言うまでもありません。今回は全国でも珍しい「自然環境コース」をもつ四万十高校の課外活動グループWZF(若武者絶対増やす実行委員会)」の生徒さんと、彼らを見守る先生にお話をうかがいました。

右から四万十高校のWZF代表の林浩史(ひろふみ)君、西山満(みつる)君、威能唯花さん。

林 浩史 君/西山 満 君/威能唯花 さん

右から四万十高校のWZF代表の林浩史(ひろふみ)君、西山満(みつる)君、威能唯花さん。WZFは「自然環境保全活動や意見交換を通して、四万十川の抱える環境問題を少しでも解決する人材(若武者)を増やすという趣旨で生まれた課外活動グループです。林君と西山君は自然環境コース、威能さんは一般コースの学生で、いずれも4月から3年生になります。

前島 正二 先生

前島 正二 先生

担当教諭の前島正二先生は自然環境コースの環境教育担当で、「結の森協議会」にも常連メンバーとして参加していただいてきました。

(※前島先生はこの4月から県の教育委員会事務局生涯学習課に異動されました)

世界自然遺産登録地への研修や国立大学との連携も

「結の森協議会」をはじめ、四万十高校のみなさんにはこれまで何度もお目にかかっているんですが、じつは四万十高校そのものがどういう学校なのかは、あまりよく知らなかったんですよね(笑)。一般コースと自然環境コースがあって、全国から学生がやってきているそうですが。

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結の森に設置された銘板の前でポーズをとるWZFの若武者たち。銘板の字は武田双雲さんによる直筆です。

ふたつのコースは受験のときから選択するシステムになっています。1年生まではほとんど同じカリキュラムで、2年生からの自然環境コースは環境に関する専門科目が増えてきます。遠隔地から来る子はこちらのコースをとる場合が多いですね。

西山君は、県内だけど香美市(高知市の北東部)から来て寮生活をしているんですよね。遠くから来て自然環境コースを取ってみて、どんな感想をお持ちですか?

四万十高校を選んだ理由をよく聞かれるんですが、中学のときの同級生も地元に残ったり外に出ていったりするんで、外に出るほうを選んだんです。でも、自然環境コースを選んだのは大正解でした。校外活動で(世界遺産の)屋久島に行ったり、大学教授が講義に来てくれたりで、普通ではできないような経験や勉強をさせてもらっていますね。

普段の授業にはどんな特色があるんでしょうか。

2年次のときに「環境学概論」というカリキュラムがあって環境学や環境問題のことを学習しています。あと「四万十概論」というのがあって、自分たちで四万十川流域の環境問題の中からテーマを決めて一年間調べたことを発表するというのがありますね。あと、地域の中で「ふるさと学習発表会」というのがあって、そこで屋久島での研修内容をプレゼンしたりもしています。

そういうプレゼンテーションの機会がかなりあるんですね。そういうのは普通の高校ではあまり聞かないですね。

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流域の高校生たちの交流の中で行われている「清流度調査」のプレゼンテーション。森林に関わる調査を始めたのは今回の取り組みが最初のものだそうです。

いろんなところからの発表依頼があるんですよ。地元以外にも、遠く離れた土佐清水市の小学校や中学校から頼まれて、自分たちで調べてきたことを発表するなど、いわゆる出前授業の機会がかなりあります。そのほかにも環境保護関連のNPOとか、県の清流・環境課など環境関連の部署からも発表依頼がありますね。

今日も、県の清流・環境課の主催で、四万十川流域の他の高校の生徒たちとの交流の中でやっている発表会があるんです。これまでは主に川の水質や透視度、水生昆虫の生息状況を調べることをやっていたんですが、今回は森林がもつ保水力などについて調べたことを発表します。

このほど、筑波大学が四万十町で続けてきた森林の保水力の分析調査(※)も引き継いで行うことになりましたしね。確かに普通の高校ではなかなか得られない経験を得られていますね。

右から四万十高校のWZF代表の林浩史(ひろふみ)君、西山満(みつる)君、威能唯花さん。

筑波大学から譲渡を受けて結の森の小渓流に設置されたパーシャル・フリュームのデータを取る林君と西村君。水質を詳細に観測する機器(クロマトグラフィー)があれば、さらに研究が進むそうです。

(※森林荒廃が洪水・河川環境に及ぼす影響の解明とモデル化を研究していた筑波大学のグループが、3年間の調査を終えて撤収しようとしていたときに、結の森プロジェクトを知り、調査の継続を打診してきたことによるもの。「パーシャル・フリューム」という測定機器を使い、雨天時の沢筋の流量の変化を時間経過とともに調べるものです。この2月に測定機器が筑波大学から四万十高校に譲渡され、「結の森」の中を流れる沢筋に設置されました。今後10年間に渡って「結の森」での森林整備と保水力の因果関係を科学的に証明するための調査が行われます。こうした取り組みはこれまで全国的にも例がなく、森林整備の大切さを立証する上で非常に重要な意味をもつ調査になります)

結の森とは イベントレポート
四万十高校生によるレポート 結の森座談会
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