結の森座談会

第三回 「森と川と海の調和」が育む恵み

河口域の川ノリ漁師さんに聞く

新しい時代の森づくりをめざす「結の森プロジェクト」は、森だけでなく、そこから広がる様々な世界に生きる人々とのつながりを育んでいきたいと考えています。第3回は四万十市(旧中村市)で川ノリ漁を半世紀以上営みを続けてきた漁師さんに、森と川、そして海との関係について語っていただきました

中脇 兼松 さん

1919年、四万十川中流域の旧西土佐村の江川崎に生まれる。
30歳で四万十川の下流部にあたる旧中村市(現在は中村市と西土佐村が合併して四万十市)の河口の集落・下田に転居。
以来半世紀あまり、川ノリ漁師としての営みを続け、川ノリ漁師で構成される四万十川下流漁協の理事も務めた。組合員株を譲った息子とともに、親子二代で今も稼業を続ける現役の川ノリ漁師さん。

昔は天然青ノリ、今は養殖アオサが中心

中脇さんは西土佐村の農家に生まれたそうですが、下田に来て川ノリ漁師になったきっかけはどういうことだったんでしょうか。

「若いころは徴用で九州の炭鉱にいったり、大阪へ働きに出たりしたけど、戦争が終わって帰ってきて、山の中の西土佐村から下田に嫁に行った姉を訪ねたときに広い海を見てね、こりゃあいいところだ、と思ったんですよ。それで移り住んでしまった(笑)。
川を眺めると青ノリを採っている人がいるから、教わって採っていると漁協の理事に『川ノリを採るなら組合に入らんといかんきよ』と言われて、組合員になった。それからずっと川ノリ漁師ですわ」

のんびりとした、いい時代と穏やかな土地柄だったんですね(笑)。そのころは天然の青ノリの漁だったそうですが、今は養殖のアオサが生産の中心になっているんですね。すみません、両者の違いを教えてもらえますか?

「青ノリは、冬に河口で縄の上に干している風景が有名ですね。あれは正式にはスジアオノリといいます。ふりかけなどに使われるのがこちらです。四万十の青ノリは天然物だから風味がよくて、ご飯や漬け物の上に掛けても本当に美味しいですよ。
もうひとつのアオサは、今は養殖が中心ですが、昔は天然のものが川底の石にびっしりとはえていてね。畳をはがすようにして採ったもんです。これは干したものを戻して天ぷらにしたり吸い物に入れたりもしますが、主に佃煮にされますね。
うちの生産高で言えば、養殖アオサが9割、天然青ノリが1割ぐらいです」

値段は青ノリの方が高いんですよね。青ノリは、他の産地では養殖も盛んなようですけど、四万十では青ノリの養殖はしないのでしょうか。

左がふりかけ用の粉にされた青ノ
リ(スジアオノリ)で、右が干して乾
燥した状態のアオサ(ヒトエグサ)
。山の森と四万十川と、太平洋の
黒潮が調和して育んだ恵み。

「青ノリも養殖はできるけど、アオサと同じ場所で両方は養殖できないんですよ。青ノリがつくのはアオサより浅い水深の層になるから、同じ場所に両方の網を張ると、下から伸びてきた青ノリがアオサにまきついてアオサを殺してしまうんです。
同じ条件ならアオサのほうが目方が重くて量が取れますね。あと、青ノリは細長い髪みたいなノリなので、混ざった塵(ちり)を取り除く作業も大変で手間がかかるんです。
単価は安くても効率を考えたらアオサのほうが養殖の割りに合うんですよ」

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四万十高校生によるレポート 結の森座談会
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