結の森座談会
第二回 森が育む「川の恵み」
四万十の川漁師さんに聞く
新しい時代の森づくりをめざす「結の森プロジェクト」は、森だけでなく、そこから広がる様々な世界に生きる人々とのつながりを育んでいきたいと考えています。第2回は四万十町(旧大正町)で長年林業を営みつつ、四万十川での漁を半世紀あまり続けてきた半林半漁の川漁師さんにお話を伺いました。

森 文三 さん
1941年、旧大正町の江師集落(現在、県内外に人気の高いオートキャンプ場「ウェル花夢(かむ)」のある在所)に生まれる。
林業家として半生を過ごし、昨年(2005年)まで大正町森林組合の幹事を務めた後、引退。
一方で、12歳のときから父親の漁の手伝いをはじめ、現在も漁期には毎日のように川に向かう現役の川漁師さん。
減少するアユ
夜の川面に松明(たいまつ)の炎
を振りかざし、アユを網に追い込
む「火振り漁」に出漁する文三さ
んの川舟。
火振り漁の網にかかった四万十
の天然アユ。今年は例年にない
不漁といわれていたが、思いのほ
か見事なアユがとれていた。
森さんはこの地で半世紀あまりも漁を続けてきたわけですが、12歳のころと比べて現在 の川や漁の様子はどのように変化してきたでしょうか。
「はじめは親父がアユ漁の網を入れるときの舟こぎ役として参加したんやけどね。そのころは、そりゃアユはたくさんおったよ。川の中のアユの量は今の10倍はあったね。昔は絹糸を柿渋で染めた網を使っていたから、いまのナイロンテグスの網にくらべて破れやすくて漁の効率が悪かったけど、あのころにナイロンテグス網を使っていたら大変な漁獲量になっていたやろね。昭和40年代までは大正町内にもアユの市場があったんやけど、アユがうんと少のうなったんで、いまは個人で卸すだけになってしもうたね」
アユの減少の原因には、河口付近のアユの産卵場で、アユが卵を産み付ける川底の石が砂利の採掘で失われたことなどが指摘されていますね。 森さんの漁場はずっと上流の中流域で、海から遡ってきた子アユが大きく育つ場所ですが、このあたりでも変化は起きていますか?
「やっぱり、森が荒れて山から泥が流れ込むようになったのがいかんね。 アユは川底の岩に生えるコケ(珪藻類)を食(は)んで育つから、岩が泥をかぶるとコケを食めなくなって、やせた小さいアユばかりになる。アユ独特のスイカのような香りだって、コケを一杯食べたのと、そうでないのとではまるで違うね。
昨日もアユの友掛け(友釣り)をしてたら、かかったアユに大きなナマズが追いかけてきて、あやうく食われてしまいそうになった。ナマズは昔からいたけど、今ほどは多くなかったね。川が泥で汚れてきたんで、泥っぽい川が好きなナマズには住みやすくなったんだろうがね」
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