トップ対談 たゆまぬ創意工夫による価値の創造で、社会の役に立つ企業であり続けるために コクヨ株式会社 代表取締役 会長 黒田 章裕・キユーピー株式会社 代表取締役 社長 三宅 峰三郎

創業100年近いキユーピー様は、理念を基に大きく成長を続けておられ、さらなる挑戦のため開設された「仙川キユーポート」は、経営戦略と直結したコンセプトの明快さから「2014年度日経ニューオフィス賞 経済産業大臣賞」を受賞されました。そのオフィス構築プロセスをコクヨがサポートさせていただいたご縁により、キユーピー三宅社長様と弊社会長黒田の対談が実現。お客様として、また理念経営を実践されている企業として、多くの知見をいただきました。

創業者から継承した理念が時代を乗り越える指針となる

黒田

コクヨは2015年10月に創業110周年を迎えます。この節目に、受け継いだ理念に基づいて新たな経営ビジョンを描こうとしています。キユーピーさんも創業100年を目前とされていますが、成長を支えてきた考え方について教えてください。

三宅

キユーピーが大切にしている考え方として社是・社訓があります。

キユーピーの社是と社訓

これらは、創始者中島董一郎の「生き様」、「哲学」であり、経営者から新入社員までしっかりと受け継いでいます。社是・社訓は、会社の変化点や危機における経営の判断軸となるものだと思うんですね。大手食品会社のマヨネーズ市場参入が相次ぎましたが、社員全員が一丸となってその大きな試練を乗り越えたからこそ、現在のキユーピーがあると信じています。

私たちは食品会社ですから品質が一番。創業以来「良い商品は良い原料からしか生まれない」という考えのもと、安全・安心・おいしさを追求しています。象徴的なエピソードとして、良い原料の手に入らなかった戦中戦後は6年間も何も作らず、工場の草むしりをして過ごしたという話があります。その間に会社を去った者も大勢いたそうです。やっと良い原料が手に入るようになってマヨネーズの生産を再開し、残った仲間で日本の復興に貢献しようと懸命に働いた。これこそがまさしく「楽業偕悦」、志や想いを同じくする人がともに困難を乗り越えてその先の楽しみをわかちあうということです。

黒田
写真

コクヨでは創業の精神を「カスの商売」といいます。面倒で厄介な“カスのような仕事”でも、世の中の役に立つと信じてその価値を極めれば、必ずや商売になるという創業者黒田善太郎の商いの精神です。コクヨは和帳の表紙づくりからスタートし、和式帳簿、洋式帳簿へと展開していきました。しかし、第一次世界大戦の影響で帳簿用紙の輸入が不安定になり、西洋化が進む国内での安定供給のため、国産紙での洋式帳簿開発に取り組みました。書き味やにじみ具合といった「紙の品質」に徹底的にこだわり、当時、コクヨはまだ社員60名ほどの小さな町工場でしたが、大企業の王子製紙さんと9年もの歳月をかけて帳簿用紙を開発しました。この紙の品質へのこだわりは、今年で発売40周年になるキャンパスノートにも受け継がれています。

三宅

コクヨさんの洋式帳簿は、キユーピーでも使っていたようですよ。これは昭和30年代のものです。

黒田
写真

大事に残していただいているんですね。この小口と呼ばれる部分にマーブル模様をつけて、ページの抜き取りによる帳簿の改ざんを防ぐ機能がありました。「コクヨの帳簿は改ざんができない」ということで、税務署の方もお勧めしてくれたと聞いています。お蔭で洋式帳簿のコクヨシェアは、100%近くとなりました。

コクヨの基盤ができ始めた創業50周年を機に創業者が大切にしてきた考え方をまとめた「経営の信條」※に、「人は無一物でこの世に生を享け(中略)社会のお蔭によって心身ともに成長し・・・」とあります。これを「なぜ働くのか」に通じる話として、社員に丁寧に伝えるようにしています。“誰もが当たり前のように暮らしているが、例えば生命に関わる医薬品や食品、便利な交通手段を手頃な価格で手に入れ生活できるのは、社会や企業の努力によって生み出された価値による恩恵であり、すなわち社会のお蔭であると。自分が受けたそのお蔭を、今度は自分が社会に返すために、社会の役に立つよう働くのだ”と。

※ 関連情報:「経営の信條

三宅

キユーピーの社訓「親を大切にすること」にも繋がります。親は子どもに対し、無償の愛情で接してくれます。それに応える親孝行の気持ちがある人は、学校や会社でお世話になったさまざまな方への感謝の気持ちを忘れずそれに報いることのできる人です。そういう人の周囲には好意を持って接してくれる人がさらに集まり、その好循環から会社がおのずから発展するというのが、私たちの社訓にある考え方です。

ワードバンク

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