同じ経験を持つ限られたメンバーだけで、意思決定を繰り返していると、いつのまにか社会の認識との間にズレが生じているということがあります。かつてのコクヨがそうでした。コンプライアンスに反する事態を招いたことを、社長として重く受け止めました。社会が多様に急激に変化する中、新しい価値を提供し続けるには、CSR経営として何よりも意思決定の透明性確保が大切だと考え、一昨年よりコーポレート・ガバナンスの大改革に着手しました。
2012年コクヨは創業107年を迎えます。コクヨは世界中の「働く人・学ぶ人」のお役に立つことを目指しています。次の100年の成長のステージとして、まず2011年、アジア企業へ大きく舵を切りました。持続的成長を目指し、事業とCSRを両輪で進めていきます。
商品を通じて世の中の役に立つということ
企業は世の中の役に立つことで存続しています。世の中に必要とされるモノやサービスを提供することで収益を得て、社員の給与や税金として世の中に還元していく。そのくり返しが企業活動です。
かつてモノが不足していた時代には「量」が求められました。充足した今は「量」から「質」へ。さらには理念やプロセスといった目に見えないものまで、消費者が厳しく評価するようになりました。
コクヨには1冊150円のノートがあります。そこには諸先輩方が築きあげたブランドや技術・ノウハウ、お客様からのご意見など、目に見えない価値が凝縮されています。つまり1冊のノートには、それを作る社員だけでなく、その見えない価値を生み出している大勢の人々が関わっているのです。しかし、たった一人でも社会のルールを逸脱すると、企業の存続を危ぶまれるほどの影響があり、見えない価値をも奪ってしまう。このことを、社員一人ひとりが肝に銘ずる必要があります。
コクヨの企業理念は、『商品を通じて世の中の役に立つ』。企業の存在意義は、一個人では成しえない価値を創出し、世の中の役に立ち続けること。社会に選ばれ続けること。これがCSRであり、企業が持続的成長を目指すなかで、常に立ち返るべき原点だと思っています。
新たな成長のための経営改革

まず外部の経験知を経営に反映させるべく、常勤・非常勤含め、社外から取締役を迎えました。現在の取締役会は、私を含めた常勤取締役3名に加え、社外取締役3名、計6名の体制です。さらにコクヨでは初めて女性の監査役も迎えました。今後さらに強化すべきダイバーシティを、役員自ら実践しようという意図もあります。
また、経営の監督と業務執行機能を分離しました。取締役と執行役員の役割を明確にすることによって、成長に向けての事業力を高めるとともに、事業プロセスにおける意思決定の透明性を保つことが狙いです。
今後は、経営者からお客様と接する現場社員、そして海外の工場社員まで、共通の正しい判断軸で動くため、価値観の再構築と企業風土の改革をさらに推し進めていきます。これこそが、グローバルにおける成長戦略の下支えになると考えています。
※ 関連情報:「コーポレートガバナンス」





