品川ビジネス会議

第1回 「SNSやスマートフォンが生む、新しいワークスタイル」

人と人、社内と社外とのつながりが変わってきているいま、ワークスタイルにも大きな変化が生まれてきています。フェイスブックやツイッターなどのSNSやスマートフォンなどのツールがビジネスを大きく動かそうとしている。そこにはどんな価値が潜んでいるのか?コクヨ社員たちが探ります。

今回の会議で得られたものは何ですか?

オフィスづくりのプロ 一色俊秀

「MOV」企画担当者 田中美希子

ワーキングマザー代表 日向野(ひがの)彩子

スマートフォン アプリ開発者 山崎篤

人と人、社内と社外。つながりの先にある可能性。

司会

今日は「フェイスブック」や「ツイッター」などのSNSやスマートフォンの利用がビジネスをどう変えるか。社員のつながり、社外とのつながりはどう変化していくのか。
そんなところを話し合って、これからのワークスタイルを探りたいと思っています。
では、まずはみなさんの自己紹介からお願いします。

一色

一色

「コクヨファニチャー」で働いています。僕の仕事は、これからのオフィスはどうなるか、どんな管理の仕方をしているのかを調査しています。
上手にオフィスを活用している会社を取材し、その手法をアウトプットしています。

日向野

「カウネット」が運営する働く女性を応援する「わたしみがき」という情報サイトや「カウネット モニターパーク」というモニターサイトで、これからの商品開発に活かすための意見調査をメインで担当しています。実は、2度目の育児休暇から復帰してきたばかりなんです。

山崎

「コクヨS&T」に所属しています。企業の基幹システムから見積書や注文書、請求書などの大量データを自動配信するシステム「@Tovas(あっととばす)」や、スマートフォンを使って文具をもっと便利なものにする「キャミアップ」の立ち上げにも関わりました。
「キャミアップ」は、社内の有志が集まって自然派生的に始まったプロジェクト。押しつけられた仕事ではないので、みんな楽しみながら仕事をしています。

田中

田中

「コクヨファニチャー」勤務ですが、いまは「渋谷ヒカリエ」のなかにあるクリエイティブラウンジ「MOV(モヴ)」で、企画・運営に携わっています。
ほぼ毎日、現地に常駐している状態です。お客さまとコミュニケーションをとったり、「MOV」内の展示物やイベントも手がけています。

司会

では始めましょう。これからどんなふうに働き方は変わっていくのでしょうか?。最近、社内、社外で起こっている変化、いままでになかったことってありますか?
例えばですが、「MOV」はどう機能しているのか。僕たちワーカーの仕事は、「MOV」でどう変わるのか教えていただけますか。

田中

いきなり難しい質問ですね(笑)。
実は「MOV」の担当になる前、2年ほど営業に所属していたんですが、その頃は社内の限られた人たちとしかコミュニケーションをとる必要がなかった。いま考えると視野が狭くなってしまっていたと思います。
「MOV」で社外の人と関わるようになって、新しいアイデアや考え方がもらえて、仕事も日常もどんどん楽しくなっています。

司会

「MOV」を利用するのは、どんな業種の方が多いですか。

田中

いまはフリーランスで働いている方が多いですね。あとは、企業に勤務しながら、セカンドオフィスとして使ってらっしゃる方も。

司会

なるほど。山崎さんは、社外の方と一緒に仕事をする機会は多いですか。

山崎

山崎

めちゃくちゃ多いですね。
「@Tovas(あっととばす)」はインターネットサービスで、いまでいうクラウド分野。文房具という枠を飛び出している。ですから専門分野における新しい友だちづくりをする必要があった。
コクヨがコクヨだけのやり方で進めても、決して上手くいくビジネスではないので。相手から学ばせてもらい、こちらからも積極的に情報発信していくためにも、人とつながれる場にどんどん出ていかないといけない。

司会

人とつながれる場に出ていく。具体的にいうと?

山崎

コンソーシアムなどの活動に参加しています。そういった活動をしっかり続けていくうちに、コンソーシアムの運営側にまわりました。
月1回のミーティングの司会や進行を3年もやっていると、大勢の方から顔を覚えてもらえる。その結果、コクヨでも文房具だけじゃなくてクラウドビジネスが行われていると、自然と認知される。そうすることで、ビジネスが進めやすくなるんです。

一色

コンソーシアムには、いろいろな企業の経営者の方たちが多く参加されているんですか。

山崎

はい。活動の中心になっているのは、各分野でトップクラスのITベンチャーの方々です。そういった会社は、ビジネスのスピード感がぜんぜん大手とは違いますから、学ばさせていただくことが多いです。

田中

なるほど。社外の方たちと接することで、学んだことはありますか。

山崎

山崎

コンソーシアムの運営側に立ってわかったことですが、会員に対して決して指示命令はできないんです。会社と違って上下関係があるわけではないし、志とか共通の目的で集まっている場ですから。その状態で会を動かす。
モチベーションがない人に対して、やれ! とは言えないんで、そういう人たちの気持ちを高めながら、まとめていく。そういった状況をコントロールすることは、経験としてとても貴重だと思っています。

司会

なるほど。

山崎

コンソーシアムでのミーティングがご縁で、セミナーを共催したりすることもあります。確実に輪は広がっている。

司会

しっかりと、いい関係が築けていますね。

田中

「MOV」も、会社同士でつながるだけじゃなく、個人同士やプロジェクト単位でつながり、仕事をしていくのがこれからの働き方では?と提案しています。なので、山崎さんのお話に共感しました。

司会

日向野さんが立ち上げから関わられている「わたしみがき」「カウネット モニターパーク」にも、仲間づくり的な要素はありますか。

日向野

日向野

そうですね、商品を提供してくださる協力会社やインターネット会社の方など、多くの方々と一緒に仕事をしています。そういった社外の方とのつながりとは別に、情報サイトで協力していただいているモニターの方や、サイトの会員さんたちとのつながりもたくさんあります。
普段はインターネット上やメールでのやり取りですが、座談会やセミナーなどを開催してリアルでお会いしたりすることもあるんですよ。

司会

社外の人とつながることで、ここがいままでと違うとか、ここが良かったってことはありますか。

日向野

オフィス通販でインターネットを活用した場合、そこではどんなことができるだろうと考えました。
いろいろ試行錯誤し、直接お客さまの声を聞くことができるモニター制度をつくろうという提案をしました。これは正解でしたね。外部のいろいろな意見を社内の開発担当に伝えるというポジションなので、本当にさまざまな人との出会いがあり楽しい!そういう感覚を、ウェブサイトを運営しながらいつも感じていますね。

司会

社内では、そういったつながりって増えてきていますか。

日向野

うなんでしょうか。きっと、増えてきてると思います。

ツールを使い分けて、ビジネスチャンスを創る。

司会

次は、社外ツールをどう使っているか。どうですか、一色さん。

一色

一色

僕は、スマートフォンは使っていなかったし、SNSにも興味はなかった。でも、僕が担当する業務として、「i phone」や「i pad」といったモバイル機器を使って、チームのメンバーといかにつながれるかという実験が始まったんですね。
それでまずは、「ツイッター」を始めました。その後「フェイスブック」も詳しい社員に設定してもらいました。意外だったのが、社内でよく顔を合わせる人でも、「フェイスブック」でつながることで、その人のより深い情報を得ることができる。知らなかった一面が見えてくる。「フェイスブック」のなかには、パラレルワールドが広がっている。
実は日向野さんとは「フェイスブック」で友だちなんです。彼女が育児休暇の間も「フェイスブック」でつながっていたので、まったくブランクを感じないんですよね。

日向野

そうでしたね(笑)。

一色

僕が入社したころのオフィスは、それぞれの課が島と呼ばれるかたまりで席が決まっていて、良くも悪くも隣の人や同じ課の人がなにをしているのかが、いつでも見えていたんです。
でもいまはフリーアドレスなので、なかなかほかの人の状況が読めない。だから「フェイスブック」のようなツールがあるとすごく便利。離れていても、すぐに連絡が取れる。自分のことも気にかけていてもらえる。

司会

「ツイッター」はどうですか?

一色

「ツイッター」というのは、さまざまな人が情報発信をする場。そこには、自分たちの仕事に関係する多くの情報がある。そこにいるのは、発信力のある人です。そういう人を見て「カナリアツイッター」というのを始めました。昔、炭鉱の発掘には、毒ガスの有無を察知するために、敏感なカナリアを連れて入ってたんです。「ツイッター」でのカナリアは、感度の高い人のこと。
自分たちの仕事に関係のある「カナリアツイッター」を、10ジャンルずつで計100人選ぼうということになって。朝の通勤時間、電車のなかで100人の発信をチェックするのを日課にしているときもありました。

田中

田中

新聞なんかより情報量はありますよね。

一色

それに「ツイッター」は、リアルタイムで情報が確認できますからね。

田中

この人がおススメしている情報だったら信頼できる! とかありますよね。

一色

チームメンバー3人で、数日間それぞれの「お気に入り」を片っ端からマークしていったんです。そして貯まった「お気に入り」をもとに、なんでこれを選んだのかということをみんなで話し合う。そうすることで、必要とされている情報の共通項などが見えてくる。それを仕事に役立てる。
こういったツールがあることで、ワークスタイルは明らかに変わってきたと思っています。

司会

日向野さんは、育児休暇中は会社とのつながりってどうされていましたか。

日向野

一人目の子供で育児休暇をとっているときは、「ツイッター」も「フェイスブック」もなかった時代。「ミクシィ」はかろうじてありましたが。

司会

ちょっと前のことなんですね。

日向野

そんな状態だったので、社内とのつながりは途絶えていたのですが、2度目の今回は育児休暇が始まる前から「ツイッター」をやっていましたし、「フェイスブック」も休みの間に始めました。それもあり、復職してもまったく違和感なく仕事を再開することができました。
休みの間も「フェイスブック」上で同僚の動きがわかっていたので違和感なかったです。「ツイッター」に関しては、社内の人ではなく私と立場が同じような働くママさんとの情報交換に、使用していました。今日復職します! なんてつぶやくと、みんなからがんばれー!とお祝いの言葉がもらえたり。
そうやって、「フェイスブック」と「ツイッター」を使い分けているんですが、おかげで仕事にも戻りやすかったし、置いていかれている感は少なかったです。

一色

リアルだと、今日の僕と日向野さんは何年かぶりに会っているのにね。まったくそんな感じしないよね。

日向野

そうですよね。

ネットとリアルはシームレスにつながっている。

日向野

山崎さんは「キャミアップ」でかなり苦労をされたとお聞きしました。仲間を募るのが大変だったんですか。

山崎

山崎

そんなに苦労はしてないですよ。
「コクヨS&T」には、社内SNSと文書共有や管理が行える社内で利用しているサービスがあるんですね。その社内システム内に、「キャミアップ」だけのネットワーク・グループを別途つくることができるんです。なので、大事な情報がメールのCCに埋もれてしまう、という事態もだいぶ軽減していきました。社内SNSのネットワーク・グループ内では更新情報が必ずいちばん上にくるので、見逃す心配がないんです。
「フェイスブック」に関しては、いま友だちは600人くらい。そのなかの1割がコクヨ社員で残りの9割は社外の人です。その人たちと一度も仕事はしたことないけれど、社外の活動でつながっている。「フェイスブック」を使うと、一気に距離は縮められますね。それに、ソーシャルメディアやネット上だけでなく、リアルでも会う、ということを大切にしております。
ツイッターは最近ツイートの頻度が減ってますが、アカウントは活用しております。
ブロガーさんには「ツイッター」で、ビジネス関係なら「フェイスブック」といったふうに、相手に合わせて使い分ける感じになりますね。で、いちばんいらないのはメールです(笑)。

一色

ふうん。

山崎

いまは、ほとんど「フェイスブック」のメッセージ機能で、アポイントも済ませてしまいます。

田中

最近はそうですよね。仕事とプライベートの境がどんどんなくなってきている。

山崎

ないです。

田中

それは、「フェイスブック」を仕事にも使っているからというのもあります。
私がやっている「MOV」には、仕事と生活に境目がない人たちが多く、楽しさを仕事にしていくみたいなところがありますね。なので「MOV」の「フェイスブック」や「ツイッター」の公式ページでは、わざと「MOV」のことだけではなく、周辺情報とか美味しいコーヒーショップの紹介などもしています。
とはいえ、イベントの告知もしたりと、両方をカバーしていくことでフォロワー数やいいね数が増えていくのかなと感じています。

司会

スマートに使いこなしていますね!

田中

仕事とプライベートの境目がないほうが、楽チンですよね。分けるのって、けっこう大変ですよね、実は。

山崎

山崎

そうなんですよ、楽チン。負担感ってないんですよ、別に。むしろその分、ラクになってることがいっぱいある。
メール、電話、ファックスが中心の頃のほうが、何かと融通が利かなくて大変だった。いまは、移動時間や時間にすき間があれば用は済ませられるんで、むしろ楽チンですね。

田中

私が営業だった頃はメールしかなかった。しかも、なぜかメールが社外からは見られない設定だった。なので、メールも電話も社内に帰らないとわからないという状態。かなりしんどかったですね。

一色

そうだったね。

田中

先ほど、山崎さんもおっしゃってましたけど、社外とのやりとりは「フェイスブック」でもいいと思うんです。会社対会社ではメールじゃなきゃダメな部分もあると思うんですけど、個人対個人では「フェイスブック」でもいいし、メールでもいいし、「ツイッター」でもいい。
形式ばってないというのが、これからの働き方ではけっこう大事なんじゃないかなと思います。形式にとらわれずに、仕事の内容に集中したいですね。

司会

コクヨの社員って、「iPhone」を会社から渡されないと使わないとかいう人も多いじゃないですか。

田中

ホントそう思います! ビックリしたのは、個人の携帯電話を持ってないっていう人がいるんですよね、社内に。私、それがすごく衝撃的だったんですよ。

一色

うん。

司会

みんなで、もっとモバイルツールに関して開眼してほしいですね。

山崎

ちょっと使えばすぐに慣れますよね。

仕事とプライベートがひとつになっていく。

司会

これからのワークスタイルは、どうなっていったらいいと思いますか。

田中

もっと自分が楽しむことを、大切にしたらいいと思います。

一色

一色

僕もね、携帯電話からスマートフォンに替えたとき、これを携帯電話として使おうとするとすごく鬱陶しかったのね。でも、スマートフォンは携帯電話とは得る情報がまったく別なんだと思ったとき、使えるようになってきた。だから、食わず嫌いはやめて、まずは使ってみることが大切だなと。
自分から行動を変えないと、習慣は変わらないなと思う。同じことを繰り返してばかりだと、何も変わらないんです。習慣が変わると、自分自身が生まれ変わりますよね。

山崎

面倒だと思うことは、やらないですよね。

田中

「MOV」でも、スタッフ間での情報の共有がしやすいように、情報はすべて記憶媒体である「エバーノート」に書き込んでるんです。社員に、アカウントの取り方や使い方なんかを説明するんですが、やる人とやらない人がいて。どうやったらみんなが見てくれるかなあと、悩んでいます。

山崎

たぶん、見ない人は何をしても見ないですよ。手法が変わったから見ないんじゃなくて、もともと見ない人だと思うんで。

田中

人によっては、共有内容を「メールしておいて」となってしまうので、そこは変えていきたいなと思っています。もうちょっとアプリなどに対して前のめりになってくれたらスムーズなのに、と思います。

司会

日向野さんは、どう思われますか。

日向野

仕事にすごく役立つアプリもあれば、まったく仕事とは関係ないんだけど生活に役立つものもあって。どうすればもっと仕事を上手にこなせるかなと考えたときに、仕事用のアプリだけに限定せず、プライベート用のアプリも積極的に使っていくことが大事だなと思ったんですね。
プライベートでやらなくてはいけないことをアプリで短縮できると、時間に余裕が生まれる。その分を仕事やほかのことをする時間にまわせる。スマートフォンを使っていると、新しい時間のすき間というのがどんどん生まれてくる実感はあります。

山崎

仕事のテクニックが、生活でも活かされる。

日向野

日向野

はい。その逆もありますし。仕事とプライベートの境目を持たずいろんなことを進めていくと、新たなつながりが生まれてきたり、ほかのことができるようになったりする。
ただ、私が使っているスマートフォンは私物なので、いまだに机の上でいじるのは躊躇することもありますね。何か言われるわけではありませんが、デスクワークの際はパソコンをメインに使っています。会社では、パソコンにしか入っていない重要な情報もあったりするので、使い分けが大事だと思いますね。

田中

会社がもっと、フレキシブルになってくれるといいですよね。

日向野

そうですね。私の職場では、個人がそれぞれスマートフォンなどを持っていて、それを仕事でも使用するか否かは個人で判断しているという状態ですね。

山崎

そのうち変わるんじゃないですかね。
会社も変わってきてますよね。定時に来て定時に帰るという感じでもなくなってきた。一度、ガラッと変えたら実はラクということもあるかもしれない。
最近思うんですけど、仕事と個人の時間の境目がないけど息苦しくないっていうのは、実は細かく時間が区切られているからだと思うんですね。

一色

うん。

山崎

仕事とプライベートが、めまぐるしく入れ替わってるだけなんじゃないかと。精神的にしんどいとか、24時間働きっぱなしっていう感覚はまったくなくて。

田中

実際には24時間、情報は取り入れているんですよね。

山崎

でも働いてるという、しんどさはない。むしろラク。そこが不思議な感覚なんですけど。

司会

監禁されているというよりは、サーフィンしているといった感じ?

山崎

山崎

その例えは微妙だなあ(笑)。たぶん、なんで家に帰っても仕事しなきゃいけないのとか、なんで休日も働かなきゃならないんだという感覚のある人は、定時にパソコンをシャットダウンするということなんでしょうね。でも、実際にはそういう働き方のほうがしんどいんだよ、というのを上手く伝えてあげたいんですが、どう伝えたらベストなのかがわからない。

田中

そういうフレーズというか、言葉があるとすごくいいですよね。

一色

そっかぁ。昔は「ONとOFF」というのが主流でね。業務中がONで、それ以外がOFFでという感じで。

山崎

だって昔は、タイムレコーダーとかありましたよね。出退勤を管理するやつ。

一色

昔は就業中の私語さえ禁止されていたからね。

アナログとヴァーチャルを使いわける、これからの働き方。

山崎

山崎

ところで、クリエイティブな働き方について、私なりの考えをまとめてきました。
仕事をする空間は、オフィスや外出先、自宅と、主に3つしかないですよね。で、仕事上でのクリエイティブには、2種類あるかなと思いわけてみました。
ひとつ目は、ふとアイデアがわいたりひらめいたりすること。これは場所を選ばず、どこでもわき上がってくるもので、身構える必要はないですよね。
もうひとつが、企画書を練り上げるとか、プレゼンテーション資料のストーリーをつくるといった、創造性を必要とする仕事。これはどこでやればいいのか?オフィスだと、大勢の人がいて気が散る。雑念の入らない一人の空間が欲しくなって、オフィスの隅など静かなところに移動したり。外出先というのは、落ち着いた空間さえ確保できれば、どこでもできる。例えば新幹線のなかとか、いちばん仕事がはかどりますよね。自宅なら平日はOK。子どもは学校に行ってますから。むしろ静かで、快適。
意外にもクリエイティブな仕事というのは、オフィス、外、家の3つの空間すべてで行うことができる。一人で考えることができる空間と、ノートとパソコンとインターネット環境があれば大丈夫。
僕はオフィスでも一人の時間が欲しいから、出社の時間がどんどん早くなっていく(笑)。

一色

早く来てるの?

山崎

ものすごく早いですね、僕は。

一色

誰にも邪魔されないから。

山崎

はい。みんなが来る、朝の9時までというのが貴重な時間です。オフィスできっちり定時から定時まで働こうとすると、かえって時間が有効に使えないこともありますよね。
企画やアイデア出しをするときって、いきなり席に着いたからって、フルスロットルにはならない。ある程度のアイドリングというか準備があって、いざ働きだしてくる。自分のテンションに合わせて時間配分をしたほうが、仕事の効率が上がと思うんですよ。

司会

そういう意味で、決まった時間、決まった場所というふうに縛られてしまうと、自由度がなくなる。

田中

カフェなどで仕事してる人も多いですよね。そういう人たちも、山崎さんと同じような考え方なんでしょうね。

司会

「MOV」の可能性って、まさしくそれですよね。

田中

田中

そうですね。まさに、外出先の落ち着いて座れる場所っていうところに、「MOV」を入れてほしいです(笑)。そういうふうに、クリエイティブな仕事にフレキシブルに働いている人が集まってくれれば、すごく質のいい空間になるのかなと思っています。
さらにそういう人たちが、ある一箇所に集まることによって交流を持ち、それが仕事につながる。そんな場所に「MOV」をしていきたいです。

一色

「MOV」がいいなと思うところは、考えたりクリエイティブな仕事をするときに、一人じゃないということ。
どこでも仕事ができるようになって、自分が居心地のいい場所は選べるんだけど、自分の意見を発表してそれをみんなに聞いてもらうっていうのもすごく重要。他人の意見を聞くことで、自分がいままで気づいていなかったこともわかる。

山崎

確実にありますね。

一色

どこでもオフィスになる。それが、これからのオフィスのカタチ。だけど、人が集まりたくなるような要素がある、みんなで集まって意見を言い合うことができる、そんなスペースとなることが大事ですよね。
みんなで意見を出し合って、それをホワイトボードに書く。そこから新しい気づきを得る。そのために集まりたくなる、思わず行きたくなる場というのが大切だと感じます。

田中

田中

「MOV」のプロジェクトでお会いした、あるゲームクリエイターの方がおっしゃっていたことが印象的でした。ロールプレイングゲームのように、ひとりで集中してやるゲームというのは、ひとりの天才がつくるらしいんですよ。だけど、ソーシャルゲームのようにみんなでワイワイ楽しめるゲームの場合は、つくり手もみんなでワイワイしながらつくらないと楽しいものができないと。ゲームをつくる過程と、アウトプットされる商品はリンクしているとおっしゃってました。
これからは、みんなで使うものは、みんなで楽しみながらつくったほうがいいようです。

山崎

そういうことが、最終的に会社に残すべき機能なんでしょうね。

田中

みんなが必然的に集まって来るっていうのは、そういうところなんでしょうね。

一色

それはリアルで?

山崎

はい。それがあるからこそ、自分の時間も大切と思える。

田中

「MOV」を立ち上げた当初は、いろんな組織に所属している人がいて。その人たちみんなと連絡を取るのはひと苦労だったんです。でも数ヶ月前に、ひとつのテーブルを与えられて。そこに集まることで、一気に情報伝達が速くなった。それに、自分が気に入っている雑誌なんかを持参すると、それを何気なくほかの人が手に取る。その何気ない動作っていうのがけっこう大事なんじゃないかなと。
いまは「フェイスブック」などのツールもあるけど、そういったローカルな部分も必要だなと感じています。どっちかに振り過ぎるより、どちらも大切にする方がいいと思います。

一色

アナログな部分とバーチャルとね。折り合いをつけるということが、大切ですよね。
それが、これからの働き方なんじゃないでしょうか。

(2012年5月29日 エコライブオフィス品川にて)

※文中の組織名は取材当時のものです

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