みなさんからのアイデアに、コクヨは真剣に答えます。
受賞作品について
石橋 受賞作品について振り返りたいと思います。審査員の方、受賞者の方のコメントをいただきつつ進めていきましょう。


●グランプリ「紙キレ」(作品詳細はこちら)

石橋 これは最初からかなり評価が高かったですね。展示で実際に皆さんに切ってもらえないのが残念ですが、山中さん、この作品の評価ポイントは?

山中 紙にミシン目が入っているだけなんですが、実際に書いてもペン先が穴に引っかからない、罫線として使えるサイズになっていて、気持ちよく切れます。使ってみて、新しい紙の発明だと感じました。今までどうしてなかったんだろう、と。

表彰式・トークショー/イメージ

グランプリの「紙キレ」について講評

  柴田 デザインした人も、こういうのが世の中にあるんじゃないかと思うくらい、納得しながら作られたのでは。いいデザインってそういうことだと思うんですが、だれもNOと言えない、そうだよね、という説得力がありました。

山中 たくさんの紙に、碁盤の目状にドットをつけるのは、ノートのような安い値段では難しい。紙屋さんが作る価値があると認めて、製造段階で作れたらいい。このサンプルには、紙屋さんを動かすだけの十分な説得力があります。そこまで行けば、デザインのイニシニアチブとしては最高ですね。

石橋 サンプルはどうやって作られたんでしょうか、受賞者の「三人一組」の方、コメントをお願いします。

三人一組(受賞者) 最初はピザを切るような、ミシン目がつけられる道具を使いましたが、書くとひっかかりました。ビジュアル的に成立しても使ったときがNGなので、レーザー加工のメーカーを探して、ピッチを指定して発注しました。撮影したのは一枚1,200円でした。ミシン目の長さで単価が設定されるので、碁盤の目になっていると値段が跳ね上がります。本当は店頭で売っているようなパッケージにしたかったんですが、費用の面で断念しました。


水野 ノートパッドで12万円くらいですね(笑)

佐藤 パネルを見ていたときは若干疑問が残るというか、スッキリしなかったのですが、実際にモデルを手にして、透かして見た時の美しさとか、ミシン目を切ったときの心地よさとか、物の力がグランプリまで押し上げたな、と思います。ペーパーレスの時代に紙がグランプリ、という矛盾も面白い。

三人一組(受賞者) 僕達の中では、正解はこれだという確信がありました。ピッチは、正方形に分割すると端が合わないので、完全な正方形ではありません。端が合っている、真ん中で折れる、ということにこだわりました。

PAGETOP
●優秀賞「yajirushi」(作品詳細はこちら)

山中   ペンが斜めの矢印になっているので、メモの上に置いておくと「ここ読んでね」というサインになる。PCの中のカーソルとかポインタが立体になった、つまり、アイコンの3次元化と筆記具を巧みに重ね合わせました。

柴田   これは私も応援していたんですが、モデルが最初より若干太く仕上がっていたんですよね、それが惜しい。もうちょっと繊細に出来上がってくるかなと期待していたんですが。

大木(受賞者)   市販のペンを使ったので、そのキャップの大きさから抜け出せなかった。ナナメに刺さるためにはキャップにある程度の重さが必要で、素材を重くすればクリアできたと思います。ちょっと力不足でした。

柴田   コンセプトも大切なんですが、最後はサンプルの力なので、コンマ何ミリとかそういうところまで考えることが重要。グランプリは何も考えていないようでプロフェッショナルでした。この作品もそこまで詰めると良かった。

山中   映画の特撮で、ちょっとしたところにアラが見えると興ざめ、という感覚に似ているかも。感動の度合いがちょっとだけ紙キレのほうが上でした。

水野   立体を扱っている人は、さすが、サンプルの細かな仕上がりまでシビアに見てるんですね。僕は、誰かのコメントで踏んだら危ない、というのが気になりました。まきびしみたいですし。

佐藤 鮮烈だったんですが、全体的に「惜しい!」っていう感じでしたね。
 
表彰式・トークショー/イメージ

「yajirushi」について講評

●優秀賞「tuck」(作品詳細はこちら)

山中   融通のきくもの、というテーマを出したときに十徳ナイフを作って欲しいわけじゃない、と言いました。単に機能を合わせたものはダメ、という気持ちだったのですが、これはあまりにも見事で良かった。こっちがグランプリという話もありましたよね。どっちにしようか、みたいな。最後までかなり激論でしたよね。

柴田   個人的には、あったら買いたい、と思うけど、「融通のきくもの」というテーマで二つの機能が合わさったものは、グランプリにはなり得ないと思いました。でも、ひねってないんだけど美しくてやられちゃった、という感じ。

表彰式・トークショー/イメージ

「tuck」について講評

  水野   愛嬌もあって、洗練されていて、機能も充分ではないかもしれないけどプラスアルファがあって、いいです。ただ隙がなくて可愛げがないかもしれないですね、完成度が高いが故に。

山口(受賞者) 言われてみれば返す言葉がないです。作るに当たっては、安全ピンとクリップが道具箱で一緒にあるのを見たときに、ふたつのアイテムがつながるのでは、と考えました。デザインするにあたっては、市販のクリップの大きさをリサーチして、二つの機能を合わせたもので、納得できるカタチを考えて作っています。
PAGETOP
●優秀賞「beetle head」(作品詳細はこちら)

柴田   ヘッド部分がユニークで良さがあるので、そこがより強調されるように、グリップを頑張ってほしかった。キャップの形などは、現実的というか、やや興ざめする感じ。ヘッドが主役なので、他は無口なデザインで構わない。ペン先のカバーの部分は見えなくて良かった。そのほうが、先だけに目が行きますよね。

水野   パンフレット用の写真は、うちのスタッフがやたらオシャレなイメージで撮ってしまったんですが、本当に売るなら、オシャレに売ってはダメだと思う。「カブトペン買ったか?」とか、子どもが喜んで買う感じの売り方がいいと思う。

パーク(受賞者) そこまで気が回らなかったです。二股になるとキャップのデザインが難しくて、目をつぶってもキャップが締められるようにと考えましたが、遊びの部分については、自分自身に厳しくなれなかったことが悔しいです。
 
表彰式・トークショー/イメージ

「beetle head」について講評

●優秀賞「number clip」「Numbers Gem」(作品詳細はこちら)

水野   これは同じようなアイデアが、たまたま見ず知らずの二人から出たというものです。これをどう評価するのかが問題でして、ひとつの賞を分けるかという話もありましたが、「8」がほぼ同じで、それは二つに分けられないということで、ダブル受賞になりました。書類整理するときにあったら、絶対にいい。でも山中さんが「欲しい数字を探し出すのが大変かも」と言っていて、ああそうだなと。

石橋   結果的にダブル受賞になりましたが、どっちがいいか、ずいぶん議論した作品です。グランプリでもよかったという話が出ていました。

表彰式・トークショー/イメージ

「number clip」「Numbers Gem」について講評

  山中   シンプルに出来ているのは左で、実用性は右かな、という話になりましたよね。激論の末、どっちかにするのは無理だということになりました。

金子(受賞者)   コンセプトを考えるのは早かったんですが、タイポグラフィに時間がかかりました。普段はグラフィックをしているので、そういうことばかりしています。

乙部(受賞者) 私は普段からプロダクトをやっているので、形を決めるのが早かったです。どうしたら作れるか、コスト的に安くするのはどうしたらいいか、ということを絞り込んで、単純で数字に見えるものをデザインしました。
PAGETOP
●山中俊治賞「cashier tray」(作品詳細はこちら)
山中 使うシーンが明確で、融通がきくと言っていいのか、と迷ったのですが、軽やかさがいいですね。 トレイの内側の斜面を液晶表示に使ったところが、実用的で上手い。モックが良くて、そのまま商品化に行けるだけの完成度がありましたね。合わせワザであるにも関わらず説得されてしまった作品のひとつです。

斉藤(受賞者)   色はコンペなので派手にしました。ボタンは押されないようなものを選ぶと大丈夫という話をきいたのでこのデザインになりました。内側の面は斜めが見やすい、取りやすい形を、紙のモデルで検証しています。

 
表彰式・トークショー/イメージ

「cashier tray」について講評

●佐藤オオキ賞「Shilhuette」(作品詳細はこちら)
表彰式・トークショー/イメージ

「Shilhuette」について講評

 

佐藤 複数の機能がついているオールウンダー的なものではなく、特定のシーンで「あ、便利」と思う融通のきき方もあると思ったので選ばせていただきました。模型がないのが残念だったんですが、やっぱり作るのは難しかったんでしょうか。

DeMo(受賞者) 厳しかったです。筆1本を作るなら簡単だと思うんですが、これのアイデアは複数の筆があって、その中から水に浸かっていても特定のものが直感的に選び出せる、というところに意味があります。二次審査でモックを提出していいですよ、と言われて悩みましたが、ビジュアルとデザインで伝わると考えて、モックは用意しませんでした。

柴田 模型を作ったら2本3本では伝わらないと思うので、作らないという判断は正解だと思いました。


●柴田文江賞「wagomu」(作品詳細はこちら)
柴田   モデルがすごく綺麗だったということと、融通がきく輪ゴムというものに、さらに新しい価値をつけたところを評価しました。輪ゴムは相変わらず箱に入っているので、21世紀的な提案はいいな、と。機能よりも、輪ゴムの収納スタイルとして新しい提案があります。必要なときだけ切って使う。普段はあの中にペンを立てておいたりできます。

宮脇(受賞者) もともと輪ゴムは融通がきくものだと思いまして、そこに何か手をつけられていないところがあるのではと、箱の中に入っている輪ゴムを見たときに考えました。モックはシリコンの型をつくってやったんですが、本当のシリコンゴムでやるには金型を作らないとダメで、コスト的に断念しました。

 
表彰式・トークショー/イメージ

「wagomu」について講評

PAGETOP
●水野学賞「コトハリ」(作品詳細はこちら)
表彰式・トークショー/イメージ

「コトハリ」について講評

  水野  いろんな人がいろんな使い方ができそうで、それがテーマに合っていると思いました。たとえば親に書類を入れる時とか、一筆線を入れるまでもないけど、これで封をして、元気―?とか書いちゃえるのがいい。使う人が、くすっと笑ってしまうところがいい。

志喜屋(受賞者)   テーマを考えたとき、既成の一定の形から自由になる感覚が「融通がきく」というものでは、と考えて、記号性のあるフォーマットを探していたら原稿用紙に行き着きました。あと、人の気持ちもある程度枠があるから表現できるのかな、いうところを結び付けられないかな、と思ってデザインしました。

●コクヨ賞「Double Faces」(作品詳細はこちら)
石橋   最後はコクヨ賞ですが、受賞者の方がいらっしゃらないので、どなたかから一言。

山中   これも皆がいいね、と言ったものです。漢数字に目をつけたところが美しい。海外の人だと聞いて「じゃあアジアの人かな」と思ったら、やはりそうでした。同じ感じの文化圏の人間として嬉しくなります。

水野   これはタイポグラフィーがいまひとつで、そこが最後まで悩んだ点でしたが、二、四、六、八、十、という数え方ができるのが新しい。評価に値すると思いました。

 
表彰式・トークショー/イメージ

「Double Faces」について講評

| 1 |
 2 |
 3 |