グランプリ
 
「紙キレ」
「紙キレ」
作:三人一組
カテゴリ−:紙
 
作者コメント

紙という「素材」にミシン目を入れることで「モノ」へ半歩近づけました。
あともう半歩を使い手の想像力にゆだねることで、融通のきく「余地」をデザインしています。
   
  作者プロフィール

 
三人一組 三人一組
相原 和弘(松下電器産業株式会社 勤務)
吉田 智哉(松下電器産業株式会社 勤務)
齋藤 美帆(多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科 卒業)
   
  審査員コメント

 
山中俊治
碁盤の目状にミシン目が入っただけのシンプルな「紙キレ」。しかし、実によく計算された穴の大きさとピッチが、共に自在に切り取ることと、罫線として使うことを両立させている。提出された試作品は、繊細で美しく、切り取る感触も大変心地よい。これだけの完成度に至るためには、多くのテストピースを試作したにちがいない。
残念ながら、現時点ではこれを、大衆的な価格で製造する方法が想定できない。従来のギヤや型押しでは、これほどの美しさと実用性は得られないし、レーザー加工で一枚一枚加工すれば、1枚が切り紙細工のような値段になってしまう。製品化への道は険しい。しかし、紙素材として、技術革新と投資を促すに足る巨大な市場をこの作品は提示していると私は思う。
 
佐藤オオキ
簡潔なデザイン操作ながら、ユーザーシーンや機能を限定しない、とても奥行きのある提案だと思いました。使う機会が少なくなりつつある「紙」に焦点を当て、改めてその魅力や新しい可能性を示唆していると感じました。モックアップの視覚的な美しさと、指でちぎったときの感触も素敵でした。
 
柴田文江
一見すると罫線がグリットになっている紙のようにみえますが、それが紙のサ イズを 自由に変えられるキリトリ線になっているところが、このデザインの魅力です。サンプルによって表現されたそれは、説明の要らない説得力を持ってその可能 性とを 感じさせてくれました。こんな紙が開発できたなら、あらゆる紙製品に新しい価値をつくれるでしょう。
 
水野学
ありそうでなかったものが好きです。難しいことを簡単に言える人が好きです。そんな私にとってこの「紙キレ」は、非常に明快なアイデアだと感じられました。課題である融通が効くものという見地からも大変優れたアイデアだと言えます。「何だこんな事でグランプリが獲れるんだ。」と思って頂けたとしたら、このアイデアをグランプリにした意味がさらに深く重いものになると思います。そう、こんな発想からグランプリ(賞金200万円)が頂けるのですから、来年こそはグランプリを狙いましょう。肩の力を抜いて。
 
黒田章裕 コクヨ株式会社代表取締役社長
「紙」という、大変シンプルな素材に、縦横にミシン目を走らせるだけで 紙の機能性を拡大させ、 大きな可能性を感じさせる秀逸な作品です。
ミシン目を入れる加工自体は、従前より多くの製品に利用されていますが、この作品では、その当たり前を徹底的に1枚の紙に表現し、それが新しい付加価値に結びついていくことに驚きを感じさせてくれました。
実際の良さは、完成度の高いモデルを手に取ることで より一層伝わってきます。 モデルの完成度の高さは、説明が無くともストレートに作品のすばらしさを訴えてきました。
テーマである「融通のきくもの」に対して、1枚の紙で様々なシーンに対応することが出来る、まさに融通のきく紙であることを高く評価いたします。